第319回
2004年中間決算から(その3)
また中国の景気過熱感により
政策で特に引き締められた業種に鉄鋼業があります。
馬鞍山鋼鉄もろにその波をかぶりましたが、
今回の中間決算では伸びています。
・馬鞍山鋼鉄(コード:0323)の2004年1〜6月期
売上高 --- 128億808万元 前年同期比 +81.37%
純利益 --- 23億1554万元 前年同期比 +149.09%
EPS --- 0.3587元 前年同期比 +149.10%
馬鞍山鋼鉄は中国冶金業の中でも大手の鉄鋼企業です。
第2四半期の収益は、マクロコントロール政策の影響を受けて
第1四半期よりも47%減少し、粗利益率も顕著に下落しています。
ですが半期では23.16億元の純利益を上げていて
昨年同期に比較して2.49倍の増と市場予想を上回りました。
同社では今年下半期の国内の鉄鋼生産
及び消費速度は引き続き安定して伸びている為に
鋼材価格も安定あるいは小幅な値動きとなると予想されています。
第3四半期の鋼材価格がこの予想通りならば
主要原材料および燃料、海上輸送費に
大幅な上昇がなければ今年第1四半期から第3四半期の純利益は
昨年同期に比較し50%以上の伸びが予想できます。
今年、上半期は合計339万トンの鉄、380万トンの粗鋼、
355万トンの鋼材を生産しており、
生産量はそれぞれ昨年同期より28%から32%増加しました。
主要製品の販売率は100%に達し、
市場シェアは約2.4%となっています。
粗利益率では25.58%で、
第1四半期の31.05%より低下しています。
中国会計基準に基づいた第1四半期の純利益は、
昨年同期に比較し3.07倍の大幅増で、15.13億元に達しています。
ですが計算から見た場合、
同社の第2四半期の純利益はわずか8億元に留まっています。
昨年同期との比較では8割を超える伸びですが、
第1四半期との比較では47%の減少となっています。
中央政府が鉄鋼を含む一部業界の投資過熱に対処するため
マクロコントロールを実施した後、
鉄鋼業界では鋼材価格も高騰から急落を経て、
現在は適正価格に戻ってきています。
現在は全国の鉄鋼業の生産量の伸びは下降してきています。
ですが、大型鉄鋼企業の生産は安定して伸びていて、
大型鉄鋼企業には有利に働いています。
ですが、石炭、電力、運輸等は
依然不足している為に原材料及び電力価格の上昇が
利益アップに結びついていくには大きな重石となっています。
中国国内では小さな鉄工所や古い機械で鉄鋼の品質が劣り
効率の悪い企業、公害問題に繋がるような中小企業では
現在閉鎖が続いています。
その代わりに大きな企業や品質の高い製品を作れるところは
業績が伸びています。
今回の政府のマクロコントロールを梃子にして
プラスに展開していける企業だけが生き残ります。
同社はうまく乗り切っていけそうです。
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