第272回
今の株式市場から見える事
アメリカ政府は中国に対して
人民元の為替での切り上げを烈しく迫ったときがありました。
中国政府は現在はそのようなことはできないとして
ほかの手段で元切り上げを回避してきていました。
アメリカに対して中国は昨年、貿易収支では大きな黒字でしたが
昨年半ばから今年にかけて
意図的にアメリカに対しては
貿易収支で大きな赤字にしています。
また、最近では人民元先高感や切り上げ期待で
元が高くなっていました。
ですが元の切り上げ期待が後退するとともに
人民元の対ドル相場は安くなってきており、
安定した水準になってきています。
昨年の10月には先物(1年物)で7.6元近くまで買われましたが、
現在は8.1元前後で推移しています。
中国ではどうしても現在、元切り上げができません。
理由としては、
現在の銀行の不良債権問題に目処が付かない時点では
しようにもできないし、問題外だとしています。
また中国政府は金融金利政策に対して
金利引き上げを行わないと強く言っていました。
中国人民銀行の周小川総裁は
中国のマクロ経済情勢から判断して
今はしないと強く発言しています。
中国政府は過熱気味の景気を抑えるのに、
一部の加熱した業種(鉄鋼、セメント、アルミ、不動産)には
行政指導で抑え、一部の成長させていかなくてはいけない部門
(電力、石油)では成長させていくことで
調節したいと考えています。
今まで中国政府は頑として
人民元切り上げに関してはキッパリ否定しています。
ですから為替での切り上げは今のところは遠のいています。
ですが中国政府は銀行金利でも
引き上げは行わないと発言していましたが、
中国人民銀行の周小川総裁が金利引き上げもありうる、
という発言を6月8日に発表しました。
周小川・総裁は人民銀行として、中国のマクロ経済情勢、
特に物価の変動に高い関心を寄せているといい、
物価の変動はミクロ経済に影響し、マクロ経済にまで波及します。
金利の変動も物価の変動に応じて行うべきだ、と発言しています。
これは
「消費者物価が一定の水準を超えた時、
金利が追って上がっていかなければ
企業は原料を確保するのに拍車をかけ、
原料不足がますます深刻になっていく」
ということです。
<次回に続く>
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