イラストレーター・小泉鉄造さんが
明かしてくれる、株式投資の虎の巻

第246回
金融政策と政治

アメリカでは金利引き上げ懸念がでてきています。
アメリカは昨年まではデフレの心配がありましたが、
今年に入り今度は逆にインフレの心配が出てきました。
ですがアメリカではアラン・グリーンスパンFRB議長が
アメリカ経済の行方を見ながら
金利を引き上げたり下げたりしながらカジ取りし、
アメリカは今のところ金融市場、株式市場は
安定した経済成長を行ってきています。

一方中国でもデフレ経済が収束し、
最近はインフレへと変わってきてました。
中国はインフレ懸念から
銀行金利引き上げ懸念が出てきて
中国株、特に香港株式指数が安くなってきました。

なぜ金利引き上げ懸念が出てくると株価が安くなるかといえば、
銀行金利が引き上げられると銀行預金でも魅力が出てきますから、
株を購入している投資家のお金が
預金に回っていくと考えられるからです。

経済で大切なのは大きなインフレ、もしくはデフレにならないで
持続的に経済を発展させていくことです。
ここでバブルが生まれてしまっては
せっかくの景気も元の木阿弥で沈没してしまいます。
中国政府は4月27日に中国国内の株式制銀行、11行に対して
27日から5月1日までの新規融資に対し、停止を通達しました。
なぜ新規融資に対して停止を求めたかというと、
銀行の貸し出しでの伸び率が
株式銀行の総資産の第一四半期が前年同期比で34.3%と
ほかの金融機関と比べると一番高かったからです。

中国政府はこの処置を行うことで
一連の金融引き締めの見せしめ的な意味がありました。
ですが、新規融資の停止は
四大国有商業銀行は除かれており
効果は限定的だという見方が大半です。
実際に中国は行動をおこしてきています。
今後もインフレ懸念が収束しないときは
中国政府は何らかの手を打ってくるでしょう。
これを受け、中国株式市場の香港株、
特にH株が大きく下げています。

では今後中国株は上昇していくのでしょうか、
または下がっていくのでしょうか。
結論から言いますと
今後も株価指数は下がっていく可能性が大きくなっています。
これは香港株式市場と中国本土B株市場の、
株価指数が下がっていく可能性が大きい、ということです。
ここでは株価指数が下がっていく、という
”株価指数”のところが問題です。

金融引き締めの影響を受ける企業の株価は
下がっていく可能性が大きくなってきますが、
あまり影響を受けない業種、企業の株価は
大きく下がるかというとそうばかりもいえないと思います。
インフレ懸念で中国政府が引き締めを行っても
伸びていける企業は大きく成長していきます。

今回の処置では輸出関連企業、
または関係企業はダメージがあるでしょう
が、たとえば電力企業などは
政策に関係なく利益を上げていくでしょう。
中国では今年も電力不足が深刻です。
このような業種は国策の上でも
伸びていかないと中国は成長できませんし、
国民の生活の上で必要不可欠なものです。
ですから国策に沿った業種の株は
業績がそれほど大きく下がらない可能性が大きいのです。
もちろん株価指数が全体に下がったときには
そのような企業の株も大きく下がります。
このような市場に対しては
今回のインフレ懸念要因で政府の引き締めがあったとしても、
また株価が下がったとしても
あわてて売却を考える必要はありません。
逆に今後大きく株価が下がったときなどは
安く購入できるチャンスが生まれてきます。

短期で収益を上げるのではなく、
長期投資で挑んでいるのであれば
このような業種の銘柄は売却しないで手元に残しておき、
下がったときにこそ仕込むことで
利益率は上がっていく可能性が大きくなります。



当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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2004年5月18日(火)

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