第232回
インフレとデフレの関係
2003年までアメリカはデフレ警戒感のためにFF金利<※>
<※FF(フェデラル・ファンド)金利とは、
民間銀行は預金残高に応じて中央銀行に準備預金を預け、
そのために必要な資金を短期市場から調達します。
FF金利はその際の金利です。
中央銀行は資金の需給関係を調節しながら金利を
上げ下げして景気を適度に保つ為の一つの方法です。>
を引き下げて対処してきました。
逆に景気回復期待がでてきたことで
今度は過度なインフレにならないように
連邦準備制度理事会の現理事長、アラン・グリーンスパン氏は
FF金利を引き上げる可能性もでてきました。
これはどういうことかというと、
アメリカの景気が順調に回復していき、
長期的に景気発展を維持していくことに変更しました。
いままで株式市場ではどのような事が起きたかというと、
FF金利が下がるということは銀行の金利も下がると同じことです。
ですから一般市民は銀行に預けておいても利子が少ないのであれば
株式投資にまわして利益を出そうという人が増えます。
このため株式市場の株価は
上がっていく可能性が大きくなってきます。
ですが、銀行の金利が上がっていくのであれば
金利自体に魅力が出てきますので
株式市場に今まで向かっていた資金が
銀行の方に向かうことになります。
このような関係から最近アメリカの株価は軟調になっています。
これがアメリカで起きていることです。
では中国ではどうでしょうか。
中国政府は4月25日から市中銀行預金準備率を
現行の7%から7.5%へと引上げました。
なぜ引き上げたかというと
経済の発展に対して過熱感がでているためです。
中国は2003年のGDP伸び率が
前年比で9.1%と大きく伸びました。
GDPが伸びることはいいことで、
短期では各企業が成長し、伸びることはできるのですが、
長期的に大きく経済が伸びていけるか、というと
そうはいきません。
お金が街中に多く出回るということは
急速に経済が伸びてきますから過熱的投資になります。
その為に不動産過剰投資が深刻化していました。
ですから預金準備率を引上げて
市場に出回るお金に一定の枠をはめて冷めさせようとしました。
中国政府は2004年の経済成長目標(GDP伸び率)を
7%に定めました。
これは過剰な投資などに対して歯止め(ブレーキ)をかけ、
安定した経済成長を望んだ数字でした。
ですが2004年の1月から3月までの実質成長率が
9.7%と大きく成長しました。
特に広東省での1〜3月期の域内総生産(GDP)が
15%と大きく伸び、
これはこの10年間の中で最高の伸びとなっています。
<次回に続く>
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