第89回
株価が値上りした時には売却すべきか
短期投資で株式売買をしているのならば、
値上り率(キャピタルゲイン)が大事ですから、
当然持ち株を売却して利益を得ます。
では長期投資の場合はどうか、というと
数倍の値上り程度では売却しない方が賢明です。
例えば、電力株で購入した企業の配当利回りが5%だったとして、
株価が5倍に値上りした時には単純に計算しますと、
配当利回りは五分の一になりますので
1%ということになります。
ここで売却した場合には、
投資資金に対しての5%の配当金は
毎年もらえなくなってしまいます。
この様なときには購入した企業が成長していってる途中なら
なおさら売却する必要はなくなってきます。
企業が成長し、売上が伸びていった場合に、
当然配当金も業績に比例して配分するでしょうから、
今1%だったとしても将来的には
5倍の株価に対しても2〜3%と上がっていきます。
当然、前に今の株価の五分の一で購入していた投資家にとったら
現在の配当金が1%から2%に上がっていく、ということは
2倍になったことと同じです。
5%の2倍の10%に配当利回りが上がったこととなります。
ここで、このような企業の株を売却してしまう、ということは、
将来的に毎年卵を産むニワトリを
ここで手放して(売却)しまうのと同じ事です。
ニワトリを売却した時には
多少なりとも懐にお金が入ってきますが、
そのお金を使ってしまったとしたなら、それでオシマイです。
ここでは毎年卵(配当金)を産んでくれる
ニワトリの卵を今後も食べたいのであれば
ニワトリを手放してはいけません。
ですからこのようになったら、
基本的にはこの企業の株を売却する必要はないのです。
ですが、株式市場が異様に盛り上がって
常識では考えられない株価にまで値上りしていくことも
株式市場では儘あります。
例えば今後、数年以内に
中国株ブームが起きてくる可能性が大きいでしょう。
市場全体のPER(年間一株利益に対して
株価が何倍で買われているかを表した数字)が
50倍以上、100倍になった、などというときには
明らかに株式バブルです。
このようなときには
手持ちの銘柄を株価が上がっているときに
少しずつ売却していくテクニックが必要になります。
このときにブームが去り、
株価が下がった時にまた同じ銘柄を購入すれば
その差額が利益になります。
ですが、下がった時に同じ銘柄を購入する、ということは
なかなかできません。
他の銘柄に目移りがして
ついついそちらの企業の株を購入してしまうケースがほとんどだ、
といっていいでしょう。
したがって売却をしたときには縁があったらまた会いましょう。
というくらいの気持ちでいた方がいいでしょう。
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