温泉で元気・小暮淳

温泉ライターが取材で拾った
ほっこり心が温まる湯浴み話

第32回
眼病に特効あり

浅間隠(あさまかくし)温泉郷は、
浅間隠山のふもとに点在する3つの温泉地の総称です。

温川(ぬるがわ)の渓流をはさんで、
奥から薬師温泉、鳩ノ湯温泉、温川温泉があり、
すべて一軒宿です。
山小屋風の一番小さな湯宿が、
温川温泉の「白雲荘」
です。

湯の歴史は古く、江戸時代の中期に発見されています。
明治22(1889)年、浅間隠山の大洪水により
埋没してしまいましたが、昭和38(1963)年に採掘され、
復活した幻の温泉です。

宿から露天風呂へ向かう途中に、
源泉がそそぐ「洗眼処」があります。
その昔、囲炉裏(いろり)や炊事の煙に悩まされていた
村の女たちが、この湯で丹念に目を洗ったところ、
たちまち眼病が治ったことから
「目の湯」といわれるようになったといいます。

事実、目薬の成分であるホウ酸が含まれているので、
医学的見地からみても効能があることは間違いありません。
今でも地元の人たちからは「目の湯」と呼ばれ大切に守られ、
この湯をペットボトルにくみに来る人が後を絶ちません。

湯はややぬるめですが、そのぶん長湯ができます。
しばらく浸かっていると、体に小さな気泡が
いくつも張りついてくるのが分かります。
「この湯は神経痛にも特効があるんだよ。
10日間も入浴すれば効果てきめんだ」
と5代目主人の本間輝幸さん。

宿泊客の8割が県内からのリピーターだといいます。
この驚異的な数字は、今でも昔ながらに
長期滞在の湯治客を大切にしている証拠です。 

川風に吹かれながら目をつむっていると、
やさしい温川の瀬音が眠気を誘ってきます。
純粋に湯を浴(あ)み、自然を愛でることのできる
現代の湯治場です。


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2012年3月17日(土)

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