不況に負けたコンサルタント稼業
株から学んだこと
エネルギー革命が起って、石炭から石油や天然ガスの時代になるだろうことは、今になってみれば、吉村昌光さんの予言したとおりであった。
もし日本の国が石炭を産せず、自由にコストの安いエネルギーを選択できたとしたら、多分、日本では石油の輸入にガソリン税をかけて石炭の尻ぬぐいをするような非能率的なことをしなくともすんだであろう。いくら補助金を出して支えても、経済性のないものは早晩、斜陽化して倒産するよりほかなく、石炭に注ぎ込んだ莫大なお金はほとんどが無駄になったことは今日、誰の目にも明らかである。
しかし、今から二十五年前には、石油や天然ガスが石炭にとって代わるだろうと予想できた人はそんなにたくさんはいなかった。私は吉村さんの説明をきいて、なるほどと納得したので、すぐに播磨造船の株を買った。エネルギー革命が起るのなら、石油株を買うとか、天然ガスの株を買うとか、あるいは、石油化学の株を買いそうなものであるが、私の発想はいつもどこかで屈折をする。
自動車ブームが起るだろうと予想したときも、それなら既に人気づいている自動車株を買うよりも、道路株や橋梁株を買うことをすすめた。このときはうまく図に当たって、建設関連株のブームが起ったが、かつての油槽船ブームの再来としてLPG船ブームがあるだろうと予想したのは明らかに私の早合点であった。
播磨造船の株を買って一年間じっとガマンをしても、五十円の株が上へ一円か、下へ一円動くだけで、とうとうシビレを切らして私は播磨の株を買値で叩き売ってしまった。当時、流行していた歌のセリフに、「この世で一番肝心なのは素敵なタイミング」というのがあったが、
「確かにそのとおりだ。タイミングを考慮に入れなかったのだから、そのくらいの授業料を払うべきだ」
と私は自分に言いきかせた。
ところが、私が播磨造船の株を売り払ってから間もなく、播磨の株がグングン上がってあっという間に七十円台になった。どうしたのかと思って首をかしげていると、新聞に石川島と播磨が合併する記事が載った。
たまたま株価の強い時期に遭遇していたので、播磨の株価は石川島の株価にサヤ寄せをし、合併後は確か九十何円にもなった。しかし、そのときは私とはもはや何の関係もなく、私にとって勉強になったのは、株をやるのにはいつ頃上がり、いつ頃下がるか、といったタイミングの予想が必要なんだ、ということだけであった。
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