第324回
「患者さん、危機一髪!」
約10万人の患者さんが使用しているという
関節リウマチの治療薬
「リウマトレックス」の重い副作用で、
1999年の承認から昨年11月までの期間に
134人が死亡したというニュースが
先日、新聞やインターネットなどで
報道されていました。
副作用の症状は、
骨髄の抑制による白血球や
血小板の減少などの血液障害、
間質性肺炎が中心になっています。
また、死亡した人の中には、
使用が禁忌となっている
腎障害や慢性肝疾患の患者さん、
服用継続に必要な血液や肝機能の検査を
病院でされていなかった人も含まれています。
メーカーのほうでは、今まで
医師や患者さんに注意を喚起してきた、
というふうな話の仕方をしておりますが、
私の経験ではとてもそういうふうには思えません。
実際、ある病院から発行された処方せんを
私の薬局に持ってきた患者さんは、
C型肝炎の病歴があり
何年も前からそこへ通院しているのに、
担当医から何の説明もされずに
いきなり、リウマトレックスを処方されています。
以前からリウマトレックスを
C型肝炎など慢性肝疾患の患者さんに
使用することは禁忌になっており、
それは薬の添付文書の
最初のページの黄色に染められた部分にも
赤い文字で大きく目立つように書いてあります。
また、この患者さんは長年に渡って
病院に通っておられるわけですから、
担当医のほうでも
C型肝炎であることは十分承知しているはずです。
それにもかかわらず、
この薬が平然と処方されたのは、
リウマトレックスの副作用の危険性が、
メーカーから担当医に
まったく伝わっていなかった証拠と
言えるのではないでしょうか?
※この患者さんの場合、
こちらから事情を病院に説明して
処方内容をやっと変更してもらいましたが、
患者さんには
一言のお侘びの言葉もありませんでした。
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