第312回
ノロウィルスが、水道水に弱い理由とは?
ノロウィルスによる感染性胃腸炎が原因で
7人の方が亡くなった
広島県の特別養護老人ホームの場合、
「単なる食中毒か感染症か、
判断を迷ってしまった」というふうに
経営者が釈明していましたが、
確かにノロウィルスの症状は
単なる食中毒と見誤りやすいようです。
また、2003年度に保健所へ報告された
食中毒の患者の約3分の1が
ノロウィルスによるものだったという話ですが、
現在、このウィルスに効果のある薬はないため、
感染の早期発見・予防が何よりも大切になってきます。
ここ数年来、水に対する関心が高まって
水道水やプール水に添加される塩素の害が
声高に叫ばれておりますが、
ノロウィルスやO−157などの病原体は
塩素に弱いというデータがあります。
私は小学校と中学校の環境検査をするため、
年に何回か保健の先生や栄養士、
調理員の方たちと顔を会わせるのですが、
よく相談されるのは
水道管の中がだんだん錆び付いてきて
子供たちに生水を飲ませられないということです。
しかし、よく考えてみれば、
これは錆びによって
塩素の殺菌効果が落ちてしまい、
水道水の中で病原体が
繁殖しやすくなる危険性が
高くなっていることも示しています。
また、こうした問題は学校だけでなく、
老朽化した水道設備を持つ施設や家庭などでも
容易に起こりえる話です。
このところ、
ノロウィルスの感染による被害が
全国各地で急激に拡大しておりますが、
その原因の1つとして、
このような水道管の劣化による
塩素濃度の低下も
まったく考えられないことではありません。
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