第305回
ヤンキースの松井選手の場合は
偽医者が捕まった場合、
患者さんへのインタビューや
テレビや新聞などの報道を見ていると、
「やさしくて、名医」という
評判をとっていることが実に多いものです。
やさしくて気さくだから名医なのか、
と釈然としない方も
お医者さんの中にはおられるとは思いますが、
患者さん側からすれば、
やさしく話しやすいことは
現在ではやはり
名医の必要条件となりつつあります。
しかし、よく考えてみれば、
やさしいから名医、
気さくだから名医というのは、
必要条件であっても十分条件ではありません。
すぐれた診断や治療の能力があってこそ、
やさしさや気さくということが生きてくるのです。
野球などのスポーツ選手でもそうですが、
試合で活躍するからこそ名選手なのであって、
気さくでやさしいから
名選手であるわけではありません。
ヤンキースの松井選手の場合でも、
気さくでやさしいからすごいバッターなのではなく、
選手としての実力もすぐれているから
アメリカでも名選手として評価されているわけです。
「医者は病気を見て、人間を診ない」
という有名な警句もありますが、
サービス面だけをいくらよくしても
技術面のほうがおろそかであれば、
それは絵に描いた餅にしかならないでしょう。
名実ともに名医になるには、
物心ともにそれ相当の修行は必要になります。
※この頃は、老人や
慢性病の患者の割合いが増え、
内科に来る患者さんの多くは、
医師に話を聞いてもらいにきているといっても
過言でないかもしれません。
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