第250回
「毒を持って、毒を制す!」
【硫黄泉】
温泉水1キロに対して、
硫黄(イオウ)を1mg以上含有しています。
卵の腐ったような独特の匂いの温泉で、
湯は白く濁り、石けんもほとんど泡が立たない。
また、刺激性も強く、高齢者や病弱者、
皮膚や粘膜の弱い人は
入浴を避けたほうがよいとされている。
しかし、療養効果は最も顕著で、
応用範囲も広く、身体もよく温まる。
「毒を持って、毒を制す!」
という表現がまさに当てはまる温泉です。
よく、この温泉の適応症には、
高血圧や動脈硬化、薬物中毒など
温泉らしからぬ病気が表示してありますが、
それはおそらく、主成分のイオウが
血圧の上昇を抑え肝機能を活性化する
タウリンやシステインなどの
「含硫アミノ酸」の原料になるからでしょう。
また、どの温泉にも言えることですが、
いくら適応症のところに
皮膚病という文字が表示してあっても、
すべての皮膚病によいとは限りません。
硫黄泉で効果が期待できるのは、
皮膚が角質化している状態や
ノミ・シラミ・白癬菌(水虫)などによる
皮膚の寄生虫疾患の場合に主に限定されます。
前者はイオウが角質層を溶解するため、
後者はイオウに殺菌・殺虫効果があるためです。
少し余談になりますが、
ミカロンやメリットシャンプーなどの
ほとんどのフケ取りシャンプーには、
イオウが必ず添加してあります。
その理由は、頭皮の角質層が
フケになってはがれる前に、
イオウが頭皮の角質層を溶かしてくれるからです。
しかし、使い方に注意しないと、
角質層を溶かし過ぎて
髪の毛が大きなダメージを受ける可能性が
多分にあります。
【適応症】
神経痛・関節痛・皮膚病・婦人病・
高血圧・動脈硬化・疲労回復など。
北海道の登別温泉、群馬県の草津温泉、
長野県の白骨温泉などが
硫黄泉の名湯としてよく知られています。
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