第242回
果たして、200人の運命は・・・
普通の骨と違って、軟骨には
カルシウム分は含まれておりません。
軟骨は、70%前後の水分とコラーゲン、
そしてプロテオグリカンと呼ばれる
糖とタンパク質の複合体から形成されています。
プロテオグリカンの中心となる成分が
硫酸グルコサミンで、
不足すると軟骨の磨耗が始まり、
軟骨組織は徐々に崩壊していきます。
以前に、ヨーロッパで
硫酸グルコサミンを使った
臨床試験が行われたことがありますが、
それについて少し書いてみます。
「無作為に選ばれた約200人の
ひざの変形性関節症の患者を対象に
実施されたこの臨床試験では、
患者は100人ずつ
AとBの2つのグループに分けられ、
Aのグループには
1日1500mgの硫酸グルコサミンが、
Bのグループには
偽薬が3年間に渡って与えられました。
病気の進行は、ひざの関節間の隙間を
エックス線で測定することにより診断され、
偽薬を投与されたBのグループは
隙間が狭まり軟骨が減ってきていましたが、
硫酸グルコサミンを投与された
Aのグループでは
隙間の減少はあまり見られませんでした。
また、痛みや機能障害の面でも、
偽薬を与えられたBのグループでは
大部分の人たちの
症状が悪化していましたが、
硫酸グルコサミンを与えられた
Aのグループでは以前と比べて
症状がそれほど進行していませんでした。」
※変形性関節症は関節炎の一種で、
骨と骨との間で
クッションの働きをする軟骨が減少して、
痛みや機能障害を引き起こします。
患者の多くは最終的に歩行が困難になり、
関節の置換手術を受けなければならなくなります。
また、関節炎の治療には
鎮痛剤が多く使われますが、
鎮痛剤は一時的に
痛みを楽にすることはできますが、
病気の進行を抑えることはできません。
無理をして、逆に悪化させる場合がよくあります。
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