虎ノ門漢方堂店主・城戸克治さんの
やさしい漢方の話

第235回
ホウ酸ダンゴ1個で、子供8人が死亡・・・

フランス語はとてもロマンチックな言葉で、
フランス語で甘く愛を囁けば
どんな恋愛でも成功しそうな感じがしますが、
「健康食品」という言葉にも
日本人には負けず劣らず甘く響き、
理性を失わせる魔力がどうもあるようです。

しかし、よく考えてみれば、
健康食品という呼び名自体、
業者が勝手に名づけているだけであって、
医薬品などと違い
特別な審査や基準が
必要というわけではありません。
今回の「にがり」による死亡事故の場合でも、
健康食品というカテゴリーの商品として
販売されていたことが
事故の大きな原因に繋がっている気がします。

例えば、医薬品の場合なら、
消費者も用法・用量を守らなければ
副作用が出るからと飲み方にも注意しますが、
健康食品の場合には
たくさん飲んでも特別な副作用は無いと
ほとんどの消費者は勝手に思い込んでいます。
確かに、にがりの説明書には
申し訳程度の小さな文字で
多くの量を飲むなという
使用上の注意事項が書いてありましたが、
誤飲して心肺停止などを起こしたり
死亡する恐れがあるようなものは、
少量しか入らない容器にしたり
危険という文字を目立つ部分に表示して
使用上の注意を促すことぐらいは
当然必要な措置でしょう。

何年か前にも、
ゴキブリ用のホウ酸ダンゴが
テレビやマスコミなどの報道で
大ヒット商品になりましたが、
ホウ酸ダンゴ1個には
子供8人分の致死量に相当する
ホウ酸が含まれているため、
手で開けることが出来ないような構造に
現在は変更されております。

にがりは、ダイエットに効果があると
テレビなどのマスコミで紹介されるまで、
一般にはほとんど出回らない商品でした。
それが、一種のやらせとも思える
番組での異常な取り上げ方などによって、
健康によいと拡大解釈されてしまい
健康食品として爆発的に広まってしまったのです。

少し乱暴な言い方かも知れませんが、
日本の健康食品の販売状況を見ていますと、
健康食品というマヤカシ的で
非常に曖昧な言葉を
もうそろそろ使用禁止にしたほうが、
よほど国民のためになるのではないでしょうか。


←前回記事へ 2004年7月27日(火) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ