虎ノ門漢方堂店主・城戸克治さんの
やさしい漢方の話

第211回
本当はとても怖い!葛根湯

日本では漢方薬は
医薬品の扱いをされておりますが、
アメリカでは
健康食品のカテゴリーに分類されています。
ですから、日本では漢方薬や
その原料である生薬は
薬局・薬店でしか販売できませんが、
アメリカでは健康食品として
薬局・薬店以外のところでも販売が可能です。

しかし、こうした現実は
意外と大きな危険性を内部に含んでいます。
何故なら、漢方薬は
誰にでも安心して使うことの出来る
副作用のない薬とは決して言えないからです。

例えば、今年の4月初めに
アメリカで「エフェドラ」という
ダイエットや元気を増す効果があると
販売されてきた植物由来の健康食品が、
脳内出血や不整脈などを
引き起こす危険性があるとして
全面的に販売禁止に追い込まれました。

エフェドラは麻黄(まおう)という薬草で
風邪や鼻炎の漢方薬としてよく使われる
葛根湯や小青竜湯などにも多く含まれていますし、
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)という
便秘やダイエットによいとして
テレビや新聞のCMなどで
盛んに宣伝されている漢方薬にも配合されています。

エフェドラ、すなわち麻黄からは
せき止めの薬にもなる
「エフェドリン」が抽出されますが、
これは覚醒剤の仲間でもありますから
続けて使用していると
だんだん身体が痩せてきたり
神経が興奮して眠れなくなってきたり、
ひどい場合には
生命に影響を及ぼす危険性さえも出てきます。

従って、麻黄の配合された漢方薬は
いくらテレビや雑誌などで
安心感のある広告がされていても、
よく注意して使用しないといけない
漢方薬の代表的なものと言うことが出来ます。

配合されている生薬のことを考えずに、
名前や効能・効果だけで漢方薬を判断していると
大変な目に会うことは決して少なくありません。
漢方薬は副作用がないのではなくて、
副作用が出ることのないように
体質や症状を考慮して本来使うべきものです。


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