第194回
「黄泉がえり」
ハンセン病の激痛の苦しみから
患者さんを救う薬として
サリドマイドは再び甦りましたが、
その外にも全身性エリテマトーデス・
ベーチェット病・エイズによる潰瘍などの
難治性の皮膚粘膜病変にも有効なことが
現在では分かっています。
また、サリドマイドは
ハンセン病の治療薬として承認された年に、
骨髄腫の治療薬としての認可も
FDAから与えられています。
骨髄腫はガンの中でも
とりわけ痛みが強い特徴があり、
他の治療法で効果が上がらない場合に
サリドマイドが投薬され、
約3分の1の患者さんの症状が改善した
というデータがアメリカでは報告されています。
しかし、現在、世界中で
アメリカとブラジルの二ヶ国でしか
サリドマイドは製造されていないため、
個人輸入という形でしか
日本の患者さんは入手することが出来ません。
サリドマイドを服用している
骨髄腫の服用患者の約30%に
血栓症が発症するなどの報告があったり、
免疫力が低下してしまうなど、
患者さんにとってその効果は、
決してよい面ばかりではありませんが、
他の治療法で効果が得られない
激痛に苦しむ患者さんにとって、
サリドマイドは
救世主的な役割を果たしてくれる場合があります。
※昨年の今頃、坂口厚生労働大臣が
サリドマイドの個人輸入や
使用の実態について調査する考えを示し、
国内の製薬会社に
サリドマイドの製造を打診しています。
しかし、調査の結果、
かなりずさんな管理状況であったため、
厚生労働省は、
サリドマイドの管理・使用手続きの厳格化・
患者や家族への情報提供などを
欧米並みに徹底するように
関係者に通知したという話です。
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