第85回
病気を測る、八つの物差しとは?
今まで説明してきました
四診(望診・聞診・問診・切診)という
中医学独特の診察法によって集められた情報は、
中医学の理論をもとに分析され
病気の性質・部位・身体の抵抗力の状態などを
判断することに使われます。
このことを「弁証」といい、
この弁証によって得られた結論から
治療の方向を検討して、
どういう養生の仕方がよいのか・
どういった漢方薬を使えばがよいのかなどを決めます。
(このことは「論治」といいます)
また、弁証の方法として代表的なものに、
八綱弁証・気血津液弁証・病因弁証・
臓腑弁証・六経弁証・三焦弁証・
衛気栄血弁証などがあります。
八綱弁証とは
陰陽説を応用した基本的な人体の観察法で、
「表裏」・「寒熱」・「虚実」・「陰陽」という
文字通りの八つの基準があります。
特に、陰陽は重要で
残りの六つを総括するものとされていますが,
その理由は中医学では
人体は陰陽のバランスによって維持されていると
基本的に考えられているためだからです。
しかし、陰陽の区別は
相対的であまりに抽象的なものですから、
●病気の場所が浅いか深いか・・・表裏
●病気の性質が寒性か熱性か・・・寒熱
●身体の抵抗力と病気との力関係・・・虚実
という六つの具体的な判断点を設けて、
病位・病性・病勢を調べることにしたのでしょう。
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