虎ノ門漢方堂店主・城戸克治さんの
やさしい漢方の話

第2回
トンボの眼でみる? 中医学

漢方と中医学の違いは、
物事を直線的に見るか、複眼的に見るかの
見方の違いともいえるでしょう。
日本人は単一民族のため、
お互いの意思疎通は比較的楽にできます。
一方、中国では多民族のため、
生活習慣・風習・言語の違いが非常に大きく、
相手のことをよほど観察しないとお互いの事がわかりません。    
それで、相手をいろんな角度から見て判断する医学が
発達したのでしょう。
そして、少し乱暴な言い方になるかもしれませんが、
中国の殷・周・漢・隋・唐・宋・金・元・明・清など
各時代の多くの医学の中で、
主に漢の時代の部分だけをもとに作られたものが
日本でいう漢方で、
全ての時代の医学をもとに作られたものが
中医学ともいえるでしょう。
そして、その違いができてしまったことは、
日本と中国の国交が長い間閉ざされていたことに
主に原因があるともいえます。

ですから、漢方が一つの視点から見るだけなのに対して、
中医学はトンボの眼のようにいろいろな視点から
見ることができるのです。

現在、交通や通信の発達により、
ますます世界は狭くなってきました。
そのため、アメリカやドイツ、
フランスなどのヨーロッパの国々でも、
東洋の伝統医学に興味を持つ人々が
たくさん増えてきています。
あの映画俳優のトム・クルーズや
歌手のマドンナなども熱心に信奉しているという噂です。
また、日本以外の国では、東洋の伝統医学といえば、
ほとんどの場合、漢方ではなく中医学を指します。
すでに、アメリカやドイツなどの国では
法律的にも中医学は認められています。
ところが、残念ながら日本では
中医学はあまり知られておらず、
漢方との区別さえされていないのが実情です。


←前回記事へ 2003年1月30日(木) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ