服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第931回
19世紀へ旅するシェービング

髭は毎日剃りますか。
イエスと答える人は
案外少ないのではないでしょうか。
というのは休日には髭剃りも休むことが多いからです。
私も平均して計算すると、
2日に1回くらいの割合でしょう。
もちろんなかには髭の濃い人があって、
1日に2回というむきもあります。

毎朝のように髭を剃る人もあれば、
髭剃りは夜、風呂のなかで、
と決めている人もあります。
昔ながらの剃刀を使う人もいれば、
最新式のシェイヴァーに限るという人もいるでしょう。

朝、少し時間の余裕がある時は、
シェービング・ブラシを使うことにしています。
簡単便利という点では
市販のシェービング・フォームが優れていますが、
時にはシェービング・ブラシも味わいのあるものです。
少し大げさに表現すると、
19世紀の紳士にタイムスリップした気分。

シェービング・ブラシはふつう
豚毛が多いのですが。
時に馬毛、あなぐまの毛などの高級品もあります。
私のはごくふつうの豚毛のブラシです。

ブラシをぬるま湯につけて、
シェービング・ソープの上で
くるくると回していると、泡になって
これを顔に塗る。
で、朝風呂のなか、ゆっくりと髭を剃る。
ちょっと優雅な気持。
少なくとも髭剃りが楽しくなってきますよ。

今、使っているのは、
いつかロンドンで買ってきたシェービング・クリーム
半塗り状で使いやすいのです。
プラスチックのケースに入っているので、
濡れて結構、割れる心配もない。
よく見ると「クラブトゥリー&イヴリン」製と書いてある。
サンダルウッド(白檀)の香りがあって、
これもまた悪くないのです。
もっともサンダルウッドには
殺菌作用もあるとのこと。

髭剃りを面倒と考えるか、
おしゃれな、快楽の儀式と考えるかは紙一重なのです。
どうせ髭を剃るなら、
自分にふさわしい楽しさを発見しようではありませんか。


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