服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第907回
カーディガン・スーツでビジネスを

秋になって着たいものは何ですか。
私はまず第一にカーディガンを着てみたい。
たとえば白い、ウールのカーディガン。
もしもこれが家庭洗濯可能なら、
申し分ありません。
もちろんコットンやアクリルなら
水洗いも可能なのですが。

ダーク・ブルーやダーク・グレイのパンツに
白いシャツを着て、好みのネクタイを結ぶ。
で、その上に身体にフィットしたカーディガンを着る。
私の好みとしては
ハイ・ボタン・カーディガン。
つまりVゾーンの狭いカーディガンのスタイルですね。
これならボタン留めの選択の幅が広いからです。
下のボタンを2、3個外してみる。
あるいは逆に上のボタンを2、3個外してみる。
少し極端な例ですが、
ボタンをまったく留めないで
着ることもできるでしょう。
まさしくカーディガンを軽く羽織る着こなし。

要するにここではカーディガンを
第三の上着と考えるわけです。
スーツがあって、
スポーツ・ジャケット(替上着)があって、
そしてカーディガンがある。
それほど固い雰囲気でなければ、
ビジネス・ウェアとしても
通用するのではないでしょうか。

着て心地良く、軽く、身体にフィットして、
体温調節が容易である―。
こう考えるならカーディガンこそ
理想的なビジネス・ウェアのように
思えてくるではありませんか。
ネクタイが邪魔になることもなく、
接客や会議の場でも
それほど失礼にはならないでしょう。
もちろん時と場合によっては、
パンツの色と揃えて、
ある種の「カーディガン・スーツ」としても
着ることができるでしょう。

さらにはカーディガンの上に
上着を重ねることもできる。
つまりスーツのなかに
カーディガンを組合わせるわけです。
こうすればまるで
ニット・ヴェストを着ているような
印象にもなるでしょう。
カーディガンを寛きの場だけにしておくのは、惜しい。

新しい目で見直せば、
カーディガンこそもっとも21世紀的な
服装だと思うのです。


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