| 第876回一杯のシェリーで幸福になる方法
 シェリーはお好きですか。私も時折、食前酒として
 そのグラスを傾けることがあります。
 シェリーは広い意味ではスペイン産の、
 白ワインなのです。
 ただし酒精強化ワインで、
 安定性の高い飲物となります。
 栓を開けても2、3日は平気で保ちます。
 シェリー sherry がスペインの地名から来ているのは
 よく知られた話でしょう。
 カディス県の、
 ヘレス・デ・ラ・フランテーラが語源なのです。
 バダホス県にも
 ヘレス・デ・ロス・カバレという地名がありますが、
 これとは別で、関係がありません。
 前者のヘレス Jerez は
 むかし Xeres と綴って
 「シェリーズ」と読みました。
 これを聞いた(見た)英国人は複数形だと判断して
 “シェリー”の言葉が生まれたのです。
 ところで地名のヘレスはシーザーが命名したもので、
 「ジュリアスの町」という意味であったそうです。
 もっともジュリアス・シーザーの時代には
 まだシェリーは存在していなかったと思いますが。
 もしもシェリーを試してみようと思うなら、「シェリー・ミュージアム」(TEL:3572-5767)を
 ぜひおすすめします。
 「シェリー・ミュージアム」という名の、
 シェリー専門店なのです。
 銀座のとあるビルの地下にあるシェリー・バァ。
 バァは午後6時からで、食事の前に寄って、
 食前酒を一杯だけという使い方もあります。
 あるいは食事の後に
 食後酒を楽しむ方法もあるでしょう。
 さらにはスペイン料理をシェリーを片手に
 味わうことも出きるのです。
 店主の中瀬さんはこよなくシェリーを愛する人で、
 「ルノアールの絵のようなシェリーを・・・」
 とあいまいな注文をしても、
 ちゃんとそれらしい味わいのものを出してくれます。
 この面白いやりとりを経験するだけでも
 寄ってみる価値はあります。
 私もこの店に寄っては「幸福な気分になれるシェリーを下さい」などと言って、
 シェリーに遊んでもらっています。
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