服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第810回
3+1=シック

シックという言葉を使うことがありますか。
シック chic 。
もともとはフランス語ですが、
今は英語として使われます。
日本語ではよく「粋」と訳されるようです。
私は上手なほめ言葉として、
“シック”がもっと使われて良いのでは、
と考えています。
ついでながらシックの語源は古いドイツ語で
「整理する」という言葉から出ているとのことです。

男はふつうシャツを着、タイを結び、スーツを着る。
もちろん靴下、靴・・・。
この着こなしの全体像が
3つの基本色で構成されたなら、
あなたはシックの条件にかなっています。
このことを裏返すなら、
男の服には気づかないうちに
多すぎる色を使ってしまうものなのです。
ひとつの着こなしのなかに、
多くの色が含まれることは避けるべきです。

ブルー系のスーツにブルー系のシャツ、
そしてワイン系のタイ。
これなら2つの基本色ということになります。
でも、胸にあしらった絹ハンカチに
グリーンやイエローやグレイなどが入っていたなら、
たちまち5色になってしまいます。
つまり全体を3つの基本色で整えるのは難しい。

よほど日頃から頭のなかで
「3色、3色」と唱えてなければなりません。
けれどもこれが着こなしを上達させる上では、
実に大きな効果があるのです。
色を吟味し、組合わせを吟味する。
結局は自分の美意識を磨くことになるのです。

さて、色を少なく、上手に使う。
そしてもうひとつ忘れてならないことは、
ひとつのアクセント。
見せ場、ポイントを作る、ということでしょうか。
グレイの服にグレイのアクセサリー。
たしかに色は少ないけれど、
これでは着こなしのアクセント(主張点)がありません。
たとえばグレイのスーツにグレイのシャツで、
ヴァイオレットのタイを結ぶ。
「えっ」と驚いてしまいます。
この軽い、爽やかな驚きが、
着こなしのアクセントなのです。
少なくても困るし、多すぎても困るのが、
アクセントというものなのです。


←前回記事へ 2005年4月11日(月) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ