服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第787回
明るいスェーターで明るい人生

今回は、日ごろご愛読下さっている読者の
shigeo kakudou 様から
「陽春セーターの選び方」について
質問メールをいただきましたので、
そのご回答を掲載させていただきます。


■ shigeo kakudou 様にいただいたメール

件名:陽春セーターの選び方

出石先生へ。

いつも楽しくコラムを拝見させて頂いております。
以前より私の質問をコラムに取り上げて頂きまして、
誠にありがとうございます。
今回は、今の季節にぴったりの
セーターの選び方について
御質問させていただく次第です。

私はスーツ着用の職場におりますが、
勤務中はいつも上着は着用せず、
特に冬場はチャコールグレーのウールの
Vネックセーターを着て過ごしております。
これは接客時以外のシチュエーションでは
活動的で暖かく、シワも気にする必要が無いため
なかなか便利なアイテムであります。

しかし日差しはすっかり陽春の様相のなか
冬色であるチャコールグレーのセーターは
ちょっと頂けないと感じる次第です。
そこで明るい色のセーターをお店で探してみると
そのほとんどが綿や麻素材であるため、
充分に寒さの残る今頃の季節には
ちょっと不向きであると思うのであります。

そこで先生に質問ですが、
ビジネスシーンでも活用できるモノで
今の季節にぴったりのセーターの選び方。
ぜひとも御教授戴けないでしょうか?


■出石さんからのA(答え)

ご丁寧にもお便りを下さり、
有難うございます。
また、日頃からお目通し下さっていることにも
重ねて御礼を申上げます。

オフィスだけでなく、旅行なども
スェーターやカーディガンは
実に快適なジャケットになってくれます。
22世紀のビジネス・ウェアは
おそらくニット・ウェアになっていることでしょう。

さて、結論を先に言いますと、
もっとも大切なことは「糸」です。
「糸」をどう選ぶか。
スェーターの基本的な性格は、
そこに使われている糸(カーン)によって
大きく変るからです。
極端な話、シルクで編んだスェーターと
毛足の長いモヘアで編んだスェーターは、
まったく表情が異ります。
これはカーディガンやニット・ヴェストについても
まったく同じことが言えるでしょう。

私はシワなどのことを考えると、
やはりウールのほうが良いのではと思います。
ただしファイン・ゲージ。
細いウールを、きっちり編んだものを
この名で呼ぶことがあります。
たいていは糸を強く撚(よ)って芯があり、
一見、薄手に見えるのですが、
その実ハリがあるというニットです。
時と場合によっては、
編地の表面に光沢を感じることさえあります。
理想をいえば編糸は細ければ細いほど良いのです。

もしそれでも暑かったり、
重さを感じるのであれば、
スェーターに代えて
ニット・ヴェストにする方法もあるでしょう。
ハイ・ゲージのニット・ヴェストなら、
盛夏以外はほとんどの季節に通用するものです。

もちろん明るい色を楽しむのも
ひとつの方法です。
しかし場合によっては
あえてスェーターなどの色をパンツに合わせて、
シャツやネクタイに
あざやかな色を選ぶこともできるでしょう。

スェーターの上手な洗い方や、
アイロンの掛け方はすでにお話しましたので、
ここでは繰り返しません。
本当にスェーター1枚で
人生が変わることもあるのです。
ですから、どうか大切に可愛がってやって下さい。


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