服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第773回
温かい足もとは笑顔の源です

足が冷えて困ることはありませんか。
私などもよくあります。
足の指先を温めるための良い方法は、
帽子を被ることです。
頭にぴったりとした、温かい帽子を被る。

帽子を被ると
頭から体温が逃げてゆくのを防いでくれる。
そうすると身体全体が温まることになり、
結局は足先までも温めてくれるのです。

むかし、ヨーロッパの男たちには
ナイトキャップという習慣があった。
これは夜、温かく寝るための方法で、
頭にフィットした、丸い帽子を被ったのです。
寒い国の、暖房が充分でない時代の、
男たちの知恵であったのでしょう。
そして時代とともに、
やがてはナイトキャップが
「寝酒」の意味に変化したのは、
ご存じの通りです。

けれども、誰もが、
いつでも帽子を被るわけではありません。
なかには帽子が苦手という人だって
いるかも知れません。
あるいは帽子を被っても
まだ足が冷たいという人もいるかも知れません。

そんな時には靴下を重ねて履きましょう。
極端な話ですが、南極などへ行く場合には、
ごく温かい厚手の靴下を何足も重ね、
さらには靴の上に保温のための
オーバー・シューズを重ねるのだそうです。

たとえばウールの靴下の上に
コットンの靴下を重ねてみる。
これもひとつの方法かも知れません。
たとえばスーツなどを着た場合に、
あまりに防寒然とした、
厚手のウール・ソックスがのぞいてしまうのは、
不釣合いだからです。
同じウールでも薄手のものなら、
まったく問題ありません。
そんな場合には、
まず厚手のウール・ソックス履き、
その上から薄手のウール・ソックスを重ねると良いでしょう。

もちろん靴のほうに
保温の工夫をすることもあるでしょう。
保温性の高い中敷を1枚入れておくだけで、
かなり違ってきます。
これに2足のソックスなら、鬼に金棒でしょう。
足を冷やすことは健康面でも良いことではありません。
足は常に温かく、
そして笑顔を忘れないで、日々過しましょう。


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