服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第704回
ウイング・カラーをつくってみよう

ウイング・カラーのシャツを着たことがありますか。
ウイング・カラーはふつう
「立折襟」などと訳されるものです。
襟全体としては立襟で、
ただしその先端だけが、
左右に開くように立っているスタイル。
たいていは
フォーマル・ウェアにふさわしいシャツと考えられています。
「第一、そんなシャツ持ってないよ」
と言う人もいるでしょう。

でも、ウイング・カラー・シャツは
自分でつくることも不可能ではありません。
白無地の、
ごく身近かにあるシャツを利用する方法があります。
きれいに洗ったシャツに
自分でアイロンをかける。
この時、スプレー式のノリを上手に使えば、
簡単にウイング・カラーの完成です。
市販のウイング・カラーよりも襟腰の高い、
ずいぶんと立派な襟に仕上るでしょう。
これでもし袖口がダブル・カフスであれば、文句なし。
さらには胸元のボタンを飾りボタン風に仕上げれば、
もう完璧です。

蝶ネクタイを結んで、
タキシードに合わせて
着こなすこともできるわけです。
ただしウイング・カラーは
なにもタキシード専用というわけではありません。
要するに19世紀の、
クラシックなデザインをあえて着る、
というところに意味があるのです。
もちろんモーニング・コートにも
合わせることができます。
もし、そうしようと思えば、
ダーク・スーツに合わせても問題ありません。
スリーピース・スーツにウイング・カラー、
そして古典柄のネクタイを締めるのも、
ひとつの着こなし方でしょう。

自家製のウイング・カラーはほんの一例で、
おしゃれとは服と会話するところにあるのです。
一流ブランドの服を買って、
ただそのままに着るだけでは詰らない。
その服をじっと眺める。
ゆっくりと触ってみる。
耳を傾けてみる。――
どんな風に着こなしてもらいたい、と思っているのか。
襟を立ててみる、ボタンを外してみる、
袖口を折返してみる。
なにかしら自分なりの手を加えて、改良してみる。
こんな服との会話こそが、
おしゃれの精神なのです。


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