服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第677回
結びの一番、ポケッチーフ

スーツを着た時、
ポケッチーフを添えるほうですか。
ポケッチーフは飾りハンカチのことですね。
レイモンド・チャンドラー(1888〜1959年)は
そのフィリップ・マーロウ物のなかでは
しばしば“ショウ・ハンカチーフ”
という言葉を使っています。
文字通り「飾りハンカチ」と訳せるものです。
もっとも今では“ポケット・スクエア”と呼ぶこともあります。

もっともおしゃれなポケッチーフのあしらい方は、
アルニス式だと思います。
パリの銘店「アルニス」の流儀なので、
私が勝手にこう命名したのです。
すでにご存じのことでしょうが。
まずハンカチの四隅を持って、
軽く振りおろします。
次にこの四隅を手前にして、
下側の、中央のふくらみ部分を折重ねる。
このふくらみと先端部分、
その両方をのぞかせる飾り方なのです。

しかしまったく偶然のことから、
私はまったく新しい飾り方を発見しました。
そこで早速その方法についてお伝えしましょう。

まず1枚のポケッチーフを用意する。
もちろんシルク地が最適でしょう。
色や柄はお好みで。
さて、ポケッチーフの四隅を揃えます。
次にそのなかから、
ひとつの隅を引出します。
つまり3本と1本に分ける。
で、この3本に1本を巻きつけるようにして、結ぶ。
ハンカチをタテ結びにする。
と、左端に1本の先端があり、
ほぼ中央に結ばれたふくらみがあり、
そして右端に3本の先端が位置する、
という形になるはずです。

あとはこれをさらに2つ折りにするようにしながら、
ふくらみと先端部分とを飾る。
ただし一度結ばれているわけですから、
右端に3つの山、中央にふくらみ、
左端にひとつの山があらわれることでしょう。
もちろん好みによってはその逆も可能ですが。

一度結ぶことによって、
適度な厚味が生まれますので、
胸ポケットのなかでの落着きが良いのも利点でしょう。
でも、まだ名前がありません。
どなたか良い名前を考えてみては下さいませんか。


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