第675回
カフェ・オ・レは知恵の泉
カフェ・オ・レはお好きですか。
最近ではイタリア風に
カフェ・ラッテと呼ぶことも多いようですが。
要するにミルク入りコーヒーのことですね。
ある日突然、ミルク入りコーヒーが飲みたいなあ、
と思ったのです。
ことに午前中に飲むにはミルク入りコーヒーに限る。
というのは、細かい遊びが楽しめるからなのです。
コーヒーとミルク。
単純そのものですが、
その割合によって大きく味が変ってくる。
コーヒーを多くするのか、ミルクを多くするのか。
その前に濃いコーヒーなのか薄いコーヒーなのか。
もちろん合わせるほうのミルクにも
様ざまの種類があるのでしょう。
あるいはコーヒーの上からミルクを注ぐのか、
先にミルクを少し入れておいて、
その上からコーヒーなのか。
カフェ・オ・レの場合は、
両方を同時に注ぐのが良い、
とされるようです。
それからコーヒー・カップの問題があります。
カフェ・オ・レの場合、
ふつうのカップよりも大ぶりで、
厚手のカップがふさわしい。
もちろん好みの問題でしょうが。
とにかくカフェ・オ・レの場合、
細かい好みがあるので、
自分で作ったほうが良い。
仕事や雑用の合間に手を休めて、湯を沸かす、
コーヒーをつくる、カップを用意する・・・。
こんなふうに何も考えないで、
手だけを動かすのが、どうも良いらしい。
自分で作ったカフェ・オ・レを飲んでいると、
ふっと妙案が浮かんだりするのです。
人につくってもらうより、
自分で淹れたほうが良いのは、
この名案が浮まれるところにもあるのでしょう。
そうそう珈琲というのは、
創作の宛字なのだそうです。
これは江戸期の蘭学者、
宇田川榕庵(ようあん)が考案したもの。
当時、すでに榕庵は
オランダ人と楽々会話ができた人物で、
自分で「蘭和辞典」を編んだ人物。
ほかに架非などの文字をも考えたそうです。
とにかく『哥非之説』という書物を著わしているほどですが、
よほどコーヒーが好きだったのでしょう。
久々にこんな話を思い出したのも、
当然カフェ・オ・レのおかげだと思います。
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