服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第658回
私流ドレス・アップのコツ

今回は、日ごろご愛読下さっている読者の
N.I 様から
「披露宴の服装」について
質問メールをいただきましたので、
そのご回答を掲載させていただきます。


■ N.I 様にいただいたメール

件名:千鳥格子のベスト

出石先生

初めて質問させて頂きます。
実は今秋に友人の結婚式があり、
披露宴にて主賓のスピーチという大役を務める事となり、
当日の格好にあれこれと悩んでおります。

以前の先生のコラムを見て、
ちょっとベストに挑戦してみようと思い、
ショッピングに出掛けたのですが、
ショーウインドウにある
小さな千鳥格子柄のベストが気に入り
衝動買いしてしまいました。 

しかし、家に帰り
クローゼットからそれに見合うスーツを探したのですが、
無地のものがなく、
黒系の薄いピンストライプと
うっすらと濃い赤の小さなチェック柄(あまり目立たない)の
二着しか合いそうなモノのがなかったのです。

まだまだファッション勉強中のわたくしでは
果たしてこの二者択一、
どちらがよいのか見当がつきません。
やはり無地のスーツを購入したほうがよいのか・・・

ぜひとも少しアドバイス頂ければと
お便りさせていただきました。
宜しくお願い致します。

N.I


■出石さんからのA(答え)

お便りを下さり、ありがとうございます。
また日頃からお目通し下さっていることにつきましても、
重ねても御礼を申上げます。

まず結論から申しますと、
とても良いベストを見つけましたね。
少なくともドレス・アップ用としては最適のものです。
千鳥格子の柄は小さいほど良く、
生地には光沢のあるものが理想的です。
そしてさらには、自分自身が
「これぞ最上のフォーマル・ベスト」
と確信することです。

結婚式の披露宴。
おそらくアフター・シックス
(午後6時以降)のことかと思われますので、
それに添ってお話をします。
もちろんひとつの方法としては
ダーク・スーツやブラック・スーツを
組合わせることもあるでしょう。
でも、本来は、むしろジャケットとパンツを
別々に合わせるほうが良いです。
少し極端な例かも知れませんが、
タキシードも実は上着は上着、パンツはパンツと、
別々の生地で組合わせるのが
正しい着こなし方なのです。
モーニング・コートなども同じ考え方ですね。

理想を言えば、黒無地、
もしくは黒無地に近いジャケット
ということになるでしょう。
そして生地の異なる黒のパンツというのが、
ごく基本的な着こなしになります。

でも、今現在、黒に近い、
ピンストライプの上着をお持ちなのですから、
それを上手に使うことをおすすめします。
一種のファンシー・タキシードだと考えれば
むしろトップ・ファッションと考えることも出来るからです。
ただしこの場合は、
少しドレッシーな黒無地のパンツを合わせましょう。

白のドレス・シャツなら文句なしですが、
次善の策としては、
白いシャツを上手に応用させるのも良いでしょう。
ネクタイはシルヴァー・グレイの結下げ。
あるいは無地の蝶ネクタイという組合わせも考えられます。

もう一度繰返しますが、
「これぞ最高のフォーマル・ウェア」と
当の本人が強く信じること。
これこそが服と着こなしを、
自分の味方につけるためのコツなのです。


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