| 第657回靴紐のドレス・アップについて
 今回は、日ごろご愛読下さっている読者の松本 様から
 「靴紐」について
 質問メールをいただきましたので、
 そのご回答を掲載させていただきます。
 
 ■ 松本 様にいただいたメール 件名:いつも楽しみにしています はじめまして、出石さま。松本と申します。 いつもQさんQさんを読んでます。毎日の更新が楽しみです。
 (毎日は大変そうですが)
 出石さまの帽子の本も読みましたら、帽子が欲しくなり買ってしまいました。
 会社にも被って行っております。
 さて、以前から気になっていたことがありまして今回メールさせていただきました。
 靴の紐についてなのです。 靴の紐は平たいやつと丸いやつとがあるようですがどちらがよりフォーマルなのでしょうか?
 最近、靴の紐を自作し始めましたものでちょっと気になりまして。
 まだまだ、暑い日が続きそうですが、お体に気をつけてください。
 では。失礼いたします。
 
 ■出石さんからのA(答え) お便りをお寄せ下さり、ありがとうございます。
 また、いつもお目通し下さっていることにも、
 御礼申上げます。
 靴紐に対するご質問、まったく盲点でしたので、驚いています。
 しかも靴紐を自作しているとのこと、
 さらに驚いています。
 スリップ・オン・シューズ以外は、たいていの靴には紐が不可欠です。
 でも、私自身これまで無関心で、
 深く反省しています。
 靴紐は英語で“シュー・ストリング”と言います。
 また“シュー・レイス”と言うこともあります。
 靴紐を通すための「鳩目」のことは、
 “アイレット”。
 仮に左右4個づつ鳩目が開いているとすれば、
 “フォア・アイレッツ”。
 また6個鳩目なら“シックス・アイレッツ”
 ということになります。
 さらに鳩目のデザインにも大別して、オープン・タイプとクローズド・タイプとがあります。
 「外羽根式」と「内羽根式」。
 言い換えれば“ブルーチャー・タイプ”と
 “バルモラル・タイプ”との違いなのです。
 さて、丸紐と平紐の違いですが、ひと言では決められません。
 丸紐でスポーティーなものもあれば、
 平紐でドレッシーなものもあるからです。
 ただひとつ言えることは、
 太い紐よりも、細い紐のほうが
 よりフォーマルの観があります。
 細い靴紐とは、当然鳩目も小さくなるわけですが。
 細い紐ということは、より細い糸で、緻密に撚(よ)ってあるわけです。
 一般的には綿などの天然繊維のほうが、
 合繊糸に較べて、解けにくいと考えられています。
 では、同じ細さであれば同じようにドレッシーであるのか。
 いやいや、そうではありません。
 もうひとつの要素は表面の光沢感です。
 一種のワックスを塗って、
 なめらかさを表現した靴紐があります。
 一方、細くても、
 ただ編上げたままの靴紐もあるわけです。
 これは当然、前者のほうが
 よりフォーマルということになるでしょう。
 美しい、ドレッシーな靴紐が仕上ることを、
 祈っています。
 |