服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第596回
1ダースならおしゃれになれる

同じハンカチを1ダース買ったことがありますか。
まあ、どうせなら
アイリッシュ・リネンの上物などが良いでしょう。
1ダースなら、たぶん
モノグラム(頭文字)を入れてもらえるでしょう。
私の場合なら「S・I」であるとか。
もちろんいくつか書体の見本があって、
色やデザインを選べます。
私の好みとしては、
白麻の上に白文字で入れるのが好きです。
刺繍の料金が有料か無料か、
これは店によって違ってくるでしょうが。
「1ダースなら安くなる」とよく言いますね。
本当は無料にしてもらいたいところです。

同じハンカチを1ダースというのは、
ちょっと良い気分です。
つまり、いつでも同じハンカチが純白で、新鮮。
まるで手品を見ているような感じ。
「私のハンカチはこれです」
と言っているようなものです。
もっとも昔の紳士はたいてい、
ハンカチはダース単位で買う習慣を持っていました。
これこそ本当のおしゃれだと思います。

でも、これをポロ・シャツに応用できないでしょうか。
たとえばネイビー・ブルーの、
鹿の子編みのポロ・シャツを1ダース。
胸もとのワンポイント・マークのあたりに、
同じ色でモノグラムが入っているかも知れません。
いつでも、どこでもポロ・シャツといえば
同じものを着ている。
「ほかの色のポロ・シャツなんか、考えたこともない」
とでも言いそうな印象。
私はこれもまた、かなり粋なことだと思います。

同じポロ・シャツを1ダース。
ちょっと驚くかも知れません。
が、引出しを探してみると
結局はさまざまな色や柄やスタイルのポロ・シャツを
5枚や10枚持っているはずです。
ならばもう、これからはテーマをひとつに絞る。

1枚のポロシャツを何回も着ると、すぐに傷む。
けれども12枚を交互に着ていると、
永保ちしてくれる。
いつでも新鮮な印象で
着こなすことができる。
しかも親友のようなものですから、
似合わないはずがない。
これはグッド・アイディア。
「1ダースなら必ずおしゃれになれます。」


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