服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第579回
ファンシー・ベストを作ってみよう

もう使わなくなってしまったネクタイを
何本持っていますか。
私はそれほどネクタイを使わないほうですが、
それでも古いタイが何本もあります。
もちろん捨てても良いのですが、
なかなか捨てられなくて。

むかしの洒落者は、
古いネクタイを上手にほどいて、
帽子のリボンにしたものです。
ごくオーソドックスなグレーのソフト帽でも、
黒無地のリボンを
たとえば紺の水玉地に変えるだけで、
新鮮な印象になったのを覚えています。
もちろん今でも帽子愛好家にとっては
有効な手段でしょう。

ネクタイはまず例外なくシルク地で、
幅やデザインが変っただけで
捨てるにはしのびないものがあります。
また仮に表地が汚れていたり、
色変りがしている場合であっても、
その裏側が使えます。
もちろんジャカード織りなどの都合で、
裏が使えないこともあるのですが。

それはともかく、
最近では古いネクタイ地を活かして、
ファンシー・ベストに仕上げる向きが
少なくないようです。
変わりチョッキにはシルク地が多いので、
ちょうど良いわけです。
ネクタイの幅などにもよりますが、
古いネクタイ数本で、
1枚のファンシー・ベストが完成するようです。

たとえば上前(うわまえ)がゴールド糸で、
下前(したまえ)がグリーン系などという
ファンシー・ベストも可能です。
いうまでもなく、
どんなネクタイ地をどう使うかによって、
変ってくるわけです。
いずれにしても世界でたった1枚、
自分だけの変わりチョッキが出来上がることは
間違いありません。

もし仮に同じようなネクタイが何本かある場合なら、
ネクタイと、ファンシー・ベストを揃えた組合わせも
可能になるでしょう。
あるいはもっと大胆に
チョッキそのものを軽く羽織って
上着代りにすることもできます。

古いネクタイをベストに作り変えるのは、
たとえば「アン・コトン」
(TEL:5955-7126)でやってくれます。
費用は1枚につき、13650円(税込)とのことです。


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