服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第544回
いつも青春、ウエスタン・ジャケット

ウエスタン・ジャケットを着たことがありますか。
たいていはブルー・デニムで作られた
ジャンパー形式の上着。
あるいは「Gジャン」の名前のほうが
身近であるかも知れません。
「ジーパン」に対する「Gジャン」
というわけなのでしょう。
もちろんこれは当然たる和製英語です。
正しくは“ウエスタン・ジャケット”。

暑くも寒くもない今の時期に
ウエスタン・ジャケットは、
最適のものではないでしょうか。
軽くて邪魔にならず、
スポーティーな服装であれば
なんの上にでも羽織れる。
シワや汚れを気にすることもなく、
汚れたら洗えばいいだけのことです。
ウエスタン・ジャケットは
完全な一重(ひとえ)仕立てで、
現在の目で見ても
実に新しい構造であることが分ります。
単に若者専用と片づけてしまうには、
もったいないように思うのです。
私などもこの時期になると、
つい引張りだしてしまいます。
ウエスタン・ジャケットを着ると、
少年か青年のような気持になるから不思議です。

かのリーバイ・ストラウスが、
1905年に“デニム・ブラウズ”というのを登場させる。
これが現在のウエスタン・ジャケット、
直接のはじまりです。
前身にヒダの多いデザインだったのですが、
これはノーフォーク・ジャケット(狩猟服)に
ヒントを得たものであったのでしょう。
これは後に「506」の愛称で
呼ばれるようになります。

今、巷にはウエスタン・ジャケットがあふれています。
どこでも簡単に買うことができます。
でも、ちょっと待って下さい。
本当に心からウエスタン・ジャケットを味わいたいのなら、
古着を探すことをおすすめします。
なにもリーバイスの「506」と限ったわけではありませんが、
50年代、60年代に作られたウエスタン・ジャケットには
無骨さがあります。
作業服をわざわざ街着にする快感が味わえるからです。
ラングラーが好きな人もいるでしょうし、
リーが最高という人もいるでしょう。
いづれにしても簡単に
青春がとり戻せる衣裳なのです。


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