服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第510回
リボンとまごころ

友達にワインをプレゼントしたことがありますか。
もしワインが好きな友人なら、
ちょっとした贈物として
最適ではないでしょうか。
たとえば百貨店などから送るのなら、
まったく問題ない。
でも、自分が持っているワインを、
直接手渡そうとする時に、ちょっと困る。
ワインの形は複雑で、包装しにくい。
まさかむき出しというのもね。

けれどもなにかしゃれた紙と
きれいなリボンさえあれば、
なんとかなるものです。
不器用な私は、和紙かなにかでやや乱暴に包む。
所どころ、透明のテープで止めておきます。
で、その上から、ワインの首あたりに、
美しいリボンを大きく蝶結びにする。完成。
友達なら、ワイン好きなら、
これでたぶん許してくれるでしょう。

ワインは一例で、
紙とリボンとまごころさえあれば、
どんなものだって贈物になるのです。
さて、そうなると大切なのが、リボン。
リボンなら「木馬」と憶えておいて下さい。
もし時間と興味があったなら、
ぜひ一度ショウルームをのぞいて下さい。
(TEL:03-3864-1408)
ここには常時、45000種のリボンが並んでいます。
しかもそのどれもがオリジナルで、
芸術品と呼びたい見事さなのです。
もちろんすべて必要な長さだけ、
買うことができます。

リボンはMOKUBA。
少しくどいでしょうか。
でも、私がくどいのには、理由があるのです。
今や「木馬」のリボンは
世界一の水準と種類だと評価されているのです。
たとえばパリ・コレクションの洋服に使われるリボンの、
ざっと9割は「木馬」のものだそうです。
事実、パリとロンドンに
リボンの専門ブティックを持っています。
世界一のリボンが日本製というのは、
愉快なことではありませんか。
その意味でも、もっともっと美しいリボンを
上手に使おうではありませんか。

時として私はリボンを利用して
自己流の蝶ネクタイを作ることがあります。
端は手縫いで留めておけば、
まったく問題はありません。


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