服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第488回
手づくりのトラベル・ジャケット

もう今では袖を通さなくなってしまった服、
ありませんか。
私も人並に何着か持っています。
破れているわけでも、汚れているわけでもない。
けれども何となく着るつもりもなく、
さりとて捨てることもできない。
困ったものです。

でも、ある日ふっと案が浮かびました。
ゆったりとした、丈長の、デニムジャケット。
まったくの一重(ひとえ)仕立てで、
金属製のボタンが付いています。
もともとは丈夫な、
作業用の上っ張りなのでしょう。
どうせ使わないのなら、
再利用できるようにしよう、と思ったのです。

そしてもうひとつフィッシング・ベストがある。
私はいくつかこの種のベストを持っているのですが、
オフ・ホワイトの、コットンのベスト、
最近はほとんど着ていません。
今では邪魔になっているジャケットとベスト、
このふたつを合体?できないかと、考えたのです。

暇人(ひまじん)としては早速やってみました。
たしかに不恰好ですが、
なんとか着られそうです。
たしかに便利ではあります。

間単にいえば、ジャケットの裏に
ベストを裏返して付けてみたのです。
それぞれの後の中心線が揃うように気をつけながら、
要所要所を手縫いでしっかり取り付けてみました。
前身部分では不揃いなこともありますが、
ベストはもはや前を合わせるわけでもないので、
気にしません。
つまりですね、ジャケットのほぼ裏全体が
フィッシング・ベストになったわけです。
別の表現をすれば、
ジャケットの裏には
数多くの内ポケットが装備されたわけです。

まあ、好みの問題でしょうが、
私は気に入っています。自慢の一着。
少なくとも着るつもりになっています。
いや、理想の?トラベル・ジャケットではないでしょうか。
メガネや手帳、小型のカメラ・・・。
物忘れをする私にとって、
必要な小道具を何でも内ポケットに入れておけるのです。
春になったら、手づくりのトラベル・ジャケットで
旅に出るつもりです。


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