服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第331回
世界一賢いガッキです

なにか楽器を弾くことができますか。
私はからきしダメです。
ピアノやバイオリンはおろか、
トライアングル、タンバリンでさえ苦手というほどいけません。
第一、楽譜が読めないのですから、お手上げです。
だから楽器が弾ける人が羨ましくてなりません。
ああ、なにかひとつでも楽器ができたらなあ、
といつも思っていました。

ところが最近、
偶然「ミュージック・メーカー」という代物を発見しました。
有楽町のアートショップ(TEL:3286-6716)で、
6,000円で売っています。
これは楽器と呼ぶべきか、オモチャと言うべきか、
ちょっと迷ってしまいます。
でも、私のような人間には
まさにうってつけの「ガッキ」なのです。

まったく知らない曲でも、
最初から、実に簡単に弾けてしまうのです。
小型のノート型パソコンぐらいの大きさ。
薄型で、木と鉄線で出来ています。
ハーブをうんと薄く、
小型にして四角に仕上げた感じ、
とでも言えば良いでしょうか。
これに専用の譜面とピック(爪)が付いています。

専用の楽譜は6枚。
両面に印刷されていますから、合計12曲が使えます。
この楽譜を弦の下に置く。
そしてその譜面が示している位置の弦を順番にピックで弾くと、
あら不思議、曲になってしまうのです。
今、夢中になって
“ロック・ア・バイ・ベイビー”を弾いています。
簡単というのが恥かしいほどに、簡単。

でもまあ、よく考えますね。
名案です、たしかに。
ベラルーシ製なのですが、
私ベラルーシという国がどこにあるか知りません。
でもこのガッキを考案してくれた点で、
すっかり共感をおぼえてしまいました。
ぜひ一度訪ねてみたいものです。

試しにやってみたら、本当に弾けた。
これは私の自信になりました。
「弾けない」と思い込んでいるより、
「やれば出来るんだ」と考えて生きるほうが
賢いのかも知れません。
6,000円の授業料で
なにかとても大切なことを教えてもらいました。


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2003年8月29日(金)

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