服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第304回
とても涼やかなデザートです

びわはお好きですか。
漢字で書くと、枇杷ですね。
びわは好きです。
でも、それ以上にびわといえば
子供の頃の懐かしい思い出がたくさんあります。
私の子供の頃、びわは買うものではなく、
取って食べるものでした。
家の庭にもありましたし、
他の家のびわも勝手に取ったりしたものです。

びわの葉が薬用にされたことは、
すでにお話しましたね。
葉を煎じて、夏負けの薬としたのです。
でも今日は実のほうの話。びわの実。
びわは日本原産という誤解があります。
それというのも学名に
“エリオボトリア・ジャポニカ”と
日本の名前がつけられているからでしょう。
けれども実際には中国南部が原産地だとされています。
日本でのびわの記録は、
天平宝字6年(762年)のことだそうですから、古い。
いずれにしてもかなり古い時代から、
びわの栽培ははじまっていたようです。
でも、今のような大粒の実は
なかなか得られなかったらしい。

現在、びわの王様は茂木びわだということになっています。
長崎の茂木(もぎ)でつくられる大粒の、
見事なびわのことです。
むかし、江戸中期、三浦シオという人物が、
試みに栽培したのが、
そもそもの茂木びわの最初だと言われています。
これは中国より伝えられた種子を長崎で手に入れ、
茂木の土地に植えたのです。

その後も茂木びわには
面白い話がたくさんあるのですが、
これはすべて「一○香(いちまるこう)」の
パンフレットに教えてもらったのです。
この一○香の菓子に
「茂木ビワゼリー」があります。
種を抜いたびわを丸ごと
ゼリー菓子に仕上げたものです。
爽やかで、新鮮で、夏には最適のデザートでしょう。

細かい氷を敷いた上に置いて食後に出すと、
好評を博すこと間違いなしです。
「どこのシェフがつくったのですか?」
と尋ねられるかも知れませんよ。
もし興味おありの方は、直接、
茂木の一○香(いちまるこう)
(TEL:0120-49-1052)に聞いてみて下さい。


←前回記事へ

2003年7月24日(木)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ