第270回
無人島へ持って行く一冊の本
無人島に持って行く一冊の本は何ですか。
これは永遠の問いですね。
100人いれば100通りの答が返ってくるでしょう。
いや、私自身、ある時はAと思い、
ある時はBと答えて、
必ずしも一定しているわけではありません。
けれども今なら『ピアーズ百科』と答えるでしょう。
たぶんご存じの方も多いと思いますが、
ペンギン・ブックスから出ているミニ百科なのです。
百科事典というと、重くてかさばり、
とても無人島に持って行くには
不向きだと思うでしょう。
でも『ピアーズ百科』はちょうど良い大きさと厚さなのです。
その点からも無人島にはぴったりだと思います。
もし、あえて欠点を探すなら、
活字が小さいことです。私にはメガネが必要です。
そうそう、無人島には『ピアーズ百科』とメガネ。
しかし逆に言えば、これほどコンパクトなサイズに、
これほどぼう大な知識が詰っている本は
ちょっと他にはないと思います。
まず最初にページを開くと、
世界史事典があります。次に人名辞典。
また、有名な事件を解説したページもあります。
音楽事典、科学事典、経済事典、金融事典、
神話事典、思想事典、地名事典、世界地図事典、
文学事典、芸術事典、スポーツ事典、
宗教事典、コンピューター事典、映画事典、ワイン事典・・・。
これらが要領良く収められているのです。
どうです面白そうでしょう。
仮に無人島で10年暮したとしても
全部は読みきれないほどの分量です。
好きな時に好きなページを開いて読む、
これほど楽しいことはありません。
『ピアーズ百科』は1897年12月に
はじめて創刊されたものです。
これはロンドンのA&F・ピアーズ社の
トーマス・バラットという人物の発案でありました。
王室御用達の石けんを作っていた会社で、
なにか会社の宣伝になり、
また世の中のためにもなることが出来ないだろうかと、
はじめたものです。
本当に良い行いや考え方は、
時代をこえて残るものなのです。
日本では「丸善」(TEL3273-3315)などで入手できます。
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