服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第241回
さあ、頭の体操をしましょう

いつも本はどこで買っていますか。
もちろん本屋もそのひとつでしょう。
でも一度、チェイン・リーディングの面白さを知ってしまうと、
常に新刊書というわけでもありません。
一冊の本から次つぎと興味をひろげてゆく読み方を、
勝手に“チェイン・リーディング”と名づけています。

古い本を探す時には誰もが知っているように、
古書店があります。
私も大好きで、よくのぞいています。
散歩するのに最適ですし、
まったく存在さえ知らなかった本に出会えるのも
楽しみのひとつでしょう。

そして今はインターネットの時代で、
書名が分っている場合には、
比較的簡単に見つけることができます。

たとえばダシール・ハメットのハードボイルド物に
『デイン家の呪』という本があります。
たぶんこの本を読んだことのある人は少ないはずです。
私はある時、この本がどうしても必要になって、
四方八方探しましたが、見つかりません。
結局、インターネットを通じて入手したものです。
そんなわけでインターネットは
本当に心強い手段だとあらためて気づきました。

今、ダシール・ハメットの代表作は
ほとんど文庫本で手に入る。
けれども『デイン家の呪』だけは刊行されていません。
これ自体ひとつのミステリではないでしょうか。
私がやっと入手した本は昭和50年、早川書房のもので、
いわゆるポケット・ミステリの一冊なのです。
そして面白ことに著者名は
ダシェル・ハメットとなっています。

原作自体は1929年のもので、
例によって例のごとく
「私」という私立探偵が活躍するハードボイルドです。
物語自体にとくに問題があるとは思われません。
あるいは翻訳版のなかに差別用語でもあったのでしょうか。
さあ、その理由は分りません。
とにかく『デイン家の呪』だけが再版されていないのです。

どなたかその理由を教えてくれませんか。
まあ、こんなふうにして頭の体操が楽しめるわけです。


←前回記事へ

2003年5月22日(木)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ