| 第240回私の頭のおしゃれ
 本を読むのはお好きですか。私も本を読むのは好きなほうです。
 というよりもたいていは本といっしょに遊んでいます。
 あるいはまた、本に遊ばれているのかも知れませんが。
 本を読むこと自体はそれほどお金のかかることでもなく、他人に迷惑かけるわけでもなく、
 静かで上品な趣味だと勝手に思い込んでいます。
 私の本の読み方は、ラン談です。とりあえず開いてみて、
 途中で投げ出してしまうことも少なくありません。
 でも何割かの確率で、必ず興味シンシンの本に出会う。
 だからこそ本がやめられないのですが。
 誰にも好みはあるもので、
 全部の本が自分に合うわけではないでしょう。
 本を読む時私が用意するものは、ポストイットとペン。
 昔ならアンダーライン、今はポストイット。
 関心のある個所にはポストイットを貼って、
 自分なりのメモを書き込んでおきます。
 一冊読み終えたところで、
 このポストイットを頼りに、
 抜き書きをすることもできます。
 またそのポストイットを別のノートに貼っただけでも、
 簡単な読書ノートにもなるでしょう。
 たとえば『江戸のオランダ人』(片桐一男 
          著 中公新書)という本があります。980円。
 これで一週間は遊べますから、良いものです。
 昔、長崎の出島で通商を行ったオランダ人は、
 年に一回、徳川将軍にあいさつに行った。
 これが「江戸参府」です。
 ところが例のシーボルトに限って、
 なぜか旅の期間が長いのです。なぜか。
 幕末の参考文献を見ると『江戸参府紀行』(シーボルト 
          著、斎藤信 訳 東洋文庫)
 という本があることを教えてくれます。
 これがまた実に詳しい。
 そしてさらには『シーボルト』(呉秀三 著、英蘭堂)
 という本があるらしい。
 今、これを探しているのですが、まだ見つかっていない。――
 というふうにお楽しみは次から次へと続いていゆくわけです。
 私はこれも結局は「頭のおしゃれ」だと思います。
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