服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第167回
完璧な袖口はこれです

フレッシュマンのシャツに欠かせない要素は何だと思いますか。
もちろんこの条件はひとつではなく、
いくつかの要素があげられるでしょう。
でも、もっとも大切なことは、シングルの袖口です。
つまりフレンチ・カフ(ダブル・カフ)は
注意深く避けることです。
白い貝ボタンで留める、ごくふつうの袖口をおすすめします。
フレンチ・カフに対して、筒状であるところから、
正しくは“バレル・カフ”と言います。

現在、オフィスでフレンチ・カフのシャツを着るのが
一種の流行になっています。
経験を重ねたビジネスマンで、
それが似合って見えるならまったく問題はありません。
でも、オフィスの現場でどちらが実用的であるかは、
考えてみるまでもないでしょう。
フレッシュマンとしては、フレンチ・カフや
カフ・リンクス(カフス・ボタン)は
アフター・シックスのドレス・アップ用と考えるべきでしょう。

ところでバレル・カフとフレンチ・カフの
中間的な性格を持つものに、
「コンバーチブル・カフス」というものがあります。
本来はシングルの袖口になるのですが、
その両面にボタンホールが開いているために、
カフ・リンクスでも留められるデザインのものです。
私としてはこれは悪趣味だと考えています。
どうしてもカフス・ボタンを飾りたいのなら、
ダブル・カフにすれば良いのです。
シングル・カフなら素直に貝ボタンで留めれば良いのです。
いずれにしてもフレッシュマンには不要です。
というよりも絶対に真似をしないで下さい。

袖口でもうひとつ大切なことは、その長さ。
当然のことですが、長すぎても短すぎてもいけません。
そして実際には短すぎる袖口が少なくないのです。
上着の袖口から約1インチほどのぞかせる、
というのが基本になっています。
つまり長すぎるカフよりも短すぎるカフを心配するべきです。
長すぎる袖口は袖バンドなどで簡単に調整が可能だからです。


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2003年3月9日(日)

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