服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第118回
替上着のコツのコツ

ウインドーペインという柄があるのを知っていますか。
大きな、単純な、やや長方形の格子柄のことです。
“ウインドーペイン”window paneは
「窓枠格子」のこと。
そもそもは古い建物などに見られる窓枠が
ウインドーペインで、その形に似ているところから、
“ウインドーペイン”と呼ばれるようになった柄。
正しくはウインドーペイン・チェックです。
ツイードの柄としてもよく使われることは
言うまでもないでしょう。

たとえばひとつのます目が5cm×7cmほどで、
全体としてはかなり大きな格子柄となります。
配色の一例としてはブラウンの地に
イエローの格子柄といったものがあります。
このようなウインドーペイン・チェックもまた
古典柄のひとつであると同時に、
カントリー・ウェアにふさわしいものと
考えられているのです。

ウインドーペインは
チョッキやパンツに使われることは少なく、
たいていはスポーツ・ジャケットに使われます。
もちろん場合によっては
コートなどが仕立てられることはあります。
大きい柄だけに、
大きな面積で使ったほうが映えるからでしょう。

ウインドーペインはまた柄合わせに気を使う柄でもあります。
上着を仕立る時、
柄の位置がぴったりと揃うように縫うことを
「柄合わせ」と言います。
たとえば身頃とポケットのフラップ位置とで、
きっかりと柄が合っているのは気持の良いものです。
逆に背中の縫目などで柄の位置がずれているものは、
「柄合わせ」に失敗したもの、と考えて良いでしょう。

このウインドーペインは一例であって、
スポーツ・ジャケットを選ぶ場合には、
自分でその柄の名前を
しっかりと知っているものにしましょう。
第一、名無しの柄では愛着が湧いてこないはずです。

愛情を持って永く着る。
―これこそがスポーツ・ジャケットを着こなすコツなのです。


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2003年1月19日(日)

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