服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第77回
ドレス・コートを着てみませんか

タキシードの上に羽織るコートは
なにがふさわしいか知っていますか。
寒くさえなければあえて着る必要はありませんが、
時と場合によってはやはりコートが欲しいこともあるでしょう。

理想だけから言えば、
ドレス・チェスターフィールド・コートです。
黒、もしくは黒に近い色調のチェスターフィールド・コートで、
上襟に黒いビロード地をあしらっているのが特徴のもの。
“ブラック・ヴェルヴェット・カラー”と呼ばれます。

なぜ、黒いビロード襟なのか。
これはフランス革命期の英国ではじまったものです。
フランスの貴族がつぎつぎと処刑されるニュースを聞いた
イギリスの貴族が、哀悼の意を表わそうとして
はじまったデザインなのです。

ドレス・チェスターフィールド・コートの胸元に
白い絹のマフラーを巻けば、
申し分ないフォーマル・ウェアが完成します。
絹のマフラーは白に限らず
オフ・ホワイトや淡いグレーなども上品でしょう。

日本ではまず見ることがありませんが、
ドレス・ケープという方法もあります。
黒い、しなやかな素材を使ったケープ。
コートと違って袖がないので、
どのようなスタイルの上にも羽織れますし、
また着脱が簡単な点でも優れています。

以上はあくまでも理想論で、
誰もがドレス・チェスターフィールドや
ドレス・ケープを持っているわけではありません。
現実的なところでは
チェスターフィールド・コートということになります。
その意味では幅広く着こなせるチェスターフィールド・コートを
一着用意しておくと便利でしょう。

ぜひやめて頂きたいのは、トレンチ・コート。
トレンチ・コートとタキシードはどうも合いません。
もしミス・マッチを愉しみたいのなら、
むしろダッフル・コートをおすすめします。
ダークな色調のダッフル・コートとタキシードは
面白い効果を発揮するものです。


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2002年12月9日(月)

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