服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第46回
帽子を変身させる法

ローラー・ハットを知っていますか。
英語にすると”ローラー・ハット”roller hat。
でも、たぶん辞書には出ていないと思います。
本来は固有名詞、商標名ですから。
ローラー・ハットは「巻いておける帽子」のことです。
イタリアの有名な帽子メーカー、
ボルサリーノの商標名なのです。

このローラー・ハット、
一見したところごくふつうのソフト帽に似ています。
けれども手に持ってみると実に軽く、裏地がなく、リボンも細い。
俗に「アンコン・ジャケット」というのがありますが、
これは「アンコン帽」といったところでしょうか。

帽子ですから頭にのっけておくこともあれば、
脱いでおきたいこともある。
ところが帽子は持てば手がふさがり、置こうにも置く場所に困る。
なれないうちは置き忘れてきたり。
けれどもこの帽子、クルクルと巻いて
ポケットに入れておくこともできるのです。
旅行などの場合には、カバンに入れておくことだってできます。

ふつうソフト帽は型崩れに気をつかうものですが、
これは型崩れをまったく気にしなくても良いのです。なぜか。
極上のビーバー・フェルト地を使用しているから、
きわめて柔軟性が高いのです。
1個6万9千円というのですから、
たしかに値段も安くはありません。
けれども毎日のようにハット・マジック
愉しめることを考えればけっして高いとは言えないでしょう。

とにかくスーパー・ソフト・ハットなのですから、
ただ軽いだけでなく、かたちが自由自在なのです。
もし望むなら、頭の上にのせたままで、
ツバを上げたり下げたり、ヤマを上げたり下げたり。
こんな芸当ができる帽子は
世界中探してもみつかるものではありません。

少なくともこのローラー・ハットひとつで、
何通りかの被り方が可能であり、
たいていの服装に合わせて愉しめる帽子なのです。


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2002年11月8日(金)

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