服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第30回
眼にもの言わせるおしゃれ術

最近、小さな文字を読むのがつらくなってきました。
明るい場所ではなんとかなるのですが、
少し暗い所ではかすんでしまう。
遠視、やはり年齢からくるものでしょう。
今から10年以上も前に「老眼鏡」ではなく
”シニアグラス”と呼びましょう、と提案した私も、
やっとそれが必要になってきたわけです。

ところがこのシニアグラスがなかなか面倒なのです。
まず第一に掛けたり外したりがわずらわしい。
置き場所をすぐに忘れてしまう。
ケースに入れて持ち運ぶのに邪魔になる。
とにかくシニアグラスひとつ考えても
年はとりたくないものです。

でも、ここにシニアグラスについてひとつ提案があります。
それは「ハーフグラス」を使うことです。
専門的には「二重焦点レンズ」と言います。
今ではかなり常識的な存在になっていることはご存知でしょう。
分かりやすく説明すれば、レンズの上半分は素通しで、
下半分に遠視用の機能を持たせたものです。
視線をまっすぐに上に向けると素通りになり、
本や新聞を読む時には下半分の遠視用レンズを通して見る。
もちろん近視用レンズが必要な場合には
これが「遠近両用」となるわけです。

この「ハーフグラス」を使えば
いちいち掛けたり外したりしなくてもすむわけです。
「だけどメガネ自体がわずらわしい」と言う人もいるでしょう。
そんな人におすすめしたいのが、最軽量メガネ。
これは特殊な樹脂を使ったメガネフレームで、軽い。
しかも柔らかいから、掛けていることの負担がかなり少ない。
たとえば「アイフォリックス」という樹脂製メガネは、
レンズを入れての重さがわずか10グラムだというのです。

もちろん最軽量メガネでも
時と場合によっては外すこともできます。
もっともおしゃれな収納場所は上着の胸ポケット。
絹ハンカチと一緒に入れておけば傷つきにくく、
またポケッチーフのアクセントにもなるわけです。


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