服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第15回
靴下を捨てないで

むかしオノ・ヨーコの家でホームパーティーがあった。
マドンナたちのスターに混って
アンディ・ウォーホールも出席した。
たまたまこのパーティー、靴を脱いで寛ぐ趣向で、
ウォーホールふと見ると、自分の靴下に穴が開いていたという。
まさかこれはアートではなかったでしょうが。

靴下に穴が開いた場合、以前なら繕った。
裏返しにして、中に電球を入れ、それで縫ったものです。
電球を入れると自然な丸味が生まれて、
縫いやすかったからです。
でも、私は穴の開いた靴下を捨てません。
もちろん繕うほどの器用さも持っていないのですが。

ちょっと外出前に靴を磨くのに最適。
穴が開いた靴下に手を入れて、これで靴を軽く磨く。
靴はきれいになり、手は汚れない。
余談ですが、本気で靴を磨上げる時の仕上げは、
女性のナイロン・ストッキングに優るものはありません。

ところで穴は開いていないものの、
毛玉になって履くに履けない靴下もおありでしょう。
私はこの古靴下もまず捨てません。
旅行用の靴袋として重宝するからです。
小旅行、大旅行の別を問わず、
もっとも鞄に入れにくいもののひとつが、靴。

最低でも一足は替えの靴を持っていきたい。
こんな時、靴の上から古靴下を履かせる。
いつもと順序は逆ですが、
これくらい靴にフィットする靴袋は他にはありません。
しかもかさばらず、他の衣類などを汚す心配もありません。
古靴下を履かせた靴をスーツケースなどの両脇に置けば、
それほど邪魔にならないでしょう。

さらには古靴下を丸めていくつか靴の中に入れておく。
すると柔らかい木型代りになってくれて、上から荷物を重ねても、
おそらく形が崩れる心配もないでしょう。

ふだんからこのように靴をしまっておけば、
旅行の準備も10分か20分で
すぐに終わってしまうこと間違いないでしょう。


←前回記事へ 2002年10月8日(火) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ