服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第14回
帽子必勝法

ドウシテぼうしヲカブラナイノデスカ?と問うと、
「だって似合わないんだもん」と10人が10人そう答える。
帽子は大切な頭を保護し、暑さ寒さを調整し、
風や雨を防ぎ、さらには薄毛や白毛をも
カバーしてくれる小道具だというのに。

よろしい、ここでは特に帽子が似合う秘法を
お教えしましょう。
よし、帽子を被ろう!と決心すると、
たいていの人が一流の帽子店へ行って
一流の帽子を買おうとする。
これがまず最初の間違いなのですね。
免許とりたての人がいきなりスポーツカーで
高速道路を走ろうとするのに似ています。

なにごとにも順序があります。
最初は被りやすい帽子からはじめましょう。
大別すればハットよりもキャップのほうが被りやすい。
つまりソフト帽よりもハンチングから出発するのが
順序というものです。
ハンチングはまたの名を
”カスケット”(鳥打帽)とも言います。

たいていは布地で、前にだけひさしがあるものが、キャップ。
全体につば(ブリム)があるものを、ハットと言います。
帽子屋に行ったなら、なるべく親しみやすい帽子を買う。
この場合、ふだんよく着る上着や
スェーターの色に合わせたほうが良いでしょう。
ブルー系とかブラウン系とか。

買ったらすぐに被る。これが第ニの間違い。
まるでナイトキャップのように、
最初は一晩被って寝ましょう。
まあ、これは半ば冗談として、一晩抱いて寝る。
すると翌朝、自らの体温で温まり、
多少シワにもなっているはず。
つまり真新しさ抜け、たしかに自分の帽子である。
という愛着も生まれはじめているはずです。
ここに至ってはじめて、被る。
あとはもう自分の頭の一部だと思うこと。
これであなたは絶対、帽子の似合う人になってゆくでしょう。

この最初の儀式を終えたら、
次第にステップアップしていけば良いわけです。


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