| 第19回難しいICやソフトの開発は委託でよい?
 我々が台湾で新会社設立に走りまわっている一方で、日本ではオグラ社長が
 新しいセンサーモジュールの開発を担う受け皿について、
 思案をめぐらせていました。
 開発を進めるにあたって、ハードはともかく、ICやソフトウェアについては社内に開発リソースがなく、
 社内の人間を育てるか、あるいは外から引っ張ってくるか、
 さもなければ
 外部に委託することを考えなくてはならなかったからです。
 センサーテック社自身も、ハードやソフトは自分達で開発していましたが、
 ICはアメリカのゼブラ社という、
 カスタム(特注)のICを専門とする会社に
 開発・製造を委託していました。
 オグラ社長は、開発面でのポイントを明らかにするため、オグラ技研が嘗て合併した半導体商社の関係会社である、
 シリウス社に相談を持ちかけることにしました。
 同社はファブレス(自ら製造はせず、設計だけを専門に行う会社)の
 IC設計ベンチャーであり、
 カベさんという同社の営業担当役員は、
 センサーテック社と交渉した時にも
 技術面の相談役として同行してもらっていたので、
 前後の経緯は粗方承知していました。
 彼によれば、この事業は新しい機能を盛り込んだICやドライバーソフトを
 いかにスピーディに市場投入できるかが勝負の分かれ目で、
 ICは開発を委託するのであればどこに頼むのか、
 ドライバーソフトは移行期のみ
 センサーテック社による6ヶ月のライセンス期間があるものの、
 その間に自前のソフトを間に合わせられるか、
 経験のない会社にとっては「挑戦」になる、とのことでした。
 オグラ社長は、これまでも買収によって「時間を買う」方式で
 業容を拡大する方式を今回も使うことにしました。
 つまり、「勝負の別れ目」であるICとソフトの開発の周旋をも、
 シリウス社に任せることにしたのでした。
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