至福の一皿を求めて おいしさの裏側にある話

第101回
都会の箱庭/ショート・トリップ

5連休、多い人で1週間にもなった
今年のゴールデンウィーク、
旅をしたくてもできなかった私のトリップ先は
都心の千代田区紀尾井町。
ニューオータニや赤坂プリンスなどシティホテルが建ち並び
永田町にも近いこの場所に
2004年1月オープンした『オー・バカナル 紀尾井町店』で
旅好きな友達の話を訊きながら
ゆっくりランチを食べようという企画です。

連休のはじめ、半袖でも暑いくらいの午後。
東京メトロの駅から
強い陽ざしの中を歩いていくと
数十秒でもう、じっとりと汗をかいてきます。
ノースリーブで来ても良かったかも……と
少し後悔しつつ、
弁慶橋から続く坂道を上っていくと
ほどなくして、外国人たちが談笑している
テラスが見えてきました。

サヴィニャックのポスターに真っ赤なソファ席など
インテリアは
昨年、ビル改装に伴い閉店した
『オー・バカナル 原宿店』のまま。
しかしそれより少し広く、ずっと明るい印象です。
テラスが面するのも
人と車の行き来が激しい明治通りから
比較的ゆったりした紀尾井町通りになって
その向こうには、明治時代からの清水谷公園もあります。

4月にはソメイヨシノと八重桜、二度に渡って
お花見を楽しめたそうですが
5月は新緑の季節。
生まれたての葉が風に揺れるのを眺めながら
テラスで風に吹かれるのもよし、
店内から、窓枠で四角く切り取られた
緑を愛でるのもまたよし、というわけです。

ふと友達が
「この辺り、前はもっと緑がうっそうとしてたよね」
と切り出しました。
と言われて見回してみても、あるのは
森でも林でもなく
「うっそう」という言葉が想像できないほど
秩序をもって整備された公園であり、街路樹です。
いわば、用意された花や緑。
北海道の青年が
「人間が作った自然はなんか気持ち悪い」
と言っていたことを、思い出しました。

けれど
この都会の箱庭で、目の前の桜の新緑は
やわらかく、清々しく
私の目に沁みてきます。

窓際の席に陣取った私たちへ、
ベルギーのビール
ヒューガルデン・ドラフトが運ばれてきました。
軽くすっきりした味わいの
このホワイトビールに、ここでは
レモンスライスを落としていただきます。
ほんの少しの酸っぱさが、心地いい。
乾いた喉にごくんごくんと流し込めば
汗がすうっと引いていきます。


■AUX BACCHANALES(オー・バカナル)紀尾井町店
東京都千代田区紀尾井町4番1号 新紀尾井町ビル1F
TEL 03-5276-3422


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2004年5月10日(月)

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