至福の一皿を求めて おいしさの裏側にある話

第92回
大航海の国、ポルトガル

イベリア半島の南西、
スペインの西隣にある国が、ポルトガル。
考えてみれば日本とは
織田信長の時代から
深い縁もゆかりもある国のはずなのに
これまでの人生で
ポルトガルと私との関わりは
カステラと天麩羅と
ポートワインくらいのものでした。

それがあるとき、あるバーで
ポルトガル風料理
なるものと出合ってしまったのです。
べつに、一見ポルトガルのポの字もない、
音楽が流れ常連がお喋りする
普通のバーです。
なぜここにポルトガル? 
しかもちょっと自信なさげに「風」とは?
と不審に思っていたところ
どうやら、店のマスターとつき合っている彼女が
昔、ポルトガルに住んでいたらしい
との噂を聞きました。

その女性がキッチンに入って
現地で覚えた味を、自己流で再現していたようですが
それがどうして、なかなかあなどれない。
私は現地へ行ったことがないので
それが本場の味なのかどうかはわかりませんけれど
おいしいかそうでないかで言えば
すごくおいしい。

とくに豚肉とあさりの煮物なるものが
その食べ合わせの悪そうな
組み合わせにもびっくりしましたけど
スパイスとともに調和している
その不思議な味にも驚きました。

思えば大航海時代から、
アフリカやアジア、ヨーロッパに南米の
さまざまな国と関わってきたポルトガル。
お料理にも
たとえば中国の香菜(シャンツァイ)を使っていたり、
各国の香辛料やハーブなどが
自国の特産である食材とミックスされて
独自の食文化がつくられてきたのだそうです。
興味津々。

さて、話は戻って
彼女の作るポルトガル風料理は
あっさり、シンプルな味付けが気に入って
行くと毎回食べていたものです。
しかし何度目かに訪れた時、そのメニューの数々は
彼女と一緒に姿を消していました。
いや、正確には一皿だけ残っているのですけど
マスターの作る味は、失礼ながら
ポルトガルじゃない気がする……。
(しつこいようですが行ったことはありません)

戻って来て欲しい
のひとことを、彼女に呼びかけたくてうずうずしているのは
マスターでなくこの私です。


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2004年4月27日(火)

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