至福の一皿を求めて おいしさの裏側にある話

第71回
オリーブオイル、使ってますか?

かつて日本の台所に常備されていた
食用油脂といえば
サラダ油、菜種油、コーン油、紅花油、胡麻油くらいでしたが
最近では
オリーブオイルもまた、多くの家庭で
レギュラーの座を確保しています。

オリーブオイルは
果実の種でなく、果肉から搾られる
珍しい食用油脂。
日本へのオリーブオイルの輸入量は
1986年頃から増加傾向を見せ始め
1990年代、イタリア料理の大ブームとともに
飛躍的に伸びたのだとか。

というデータより、個人的には
田舎の、実家のシンク下に
秋田味噌やたまり醤油と並んで
エクストラ(以下EX)バージン・オリーブオイルと
ピュアオリーブオイルの2種類を
発見したときのほうが衝撃的でした。
ついにここまでやって来たか……と
還暦を迎えた両親の顔を見ながら
しみじみしたものです。

オリーブオイルは
その造り方(製法)や品質によって
国際的な等級が定められていますが
日本で食べられているのは、大体この2種類。
EXバージン・オリーブオイル
(酸度1%以下、化学的処理を一切行わない一番絞りで、
味、香りとも欠陥が絶無なもの)と
ピュア・オリーブオイル
(酸度1.5%以下、バージン・オリーブオイルと
精製オリーブオイルをブレンドしたもの)。

一般に、EXバージン・オリーブオイルは
サラダやカルパッチョなど
オイル自体の風味を生かして生のまま使うのに適し、
ピュア・オリーブオイルは
加熱や、素材の香りを生かしたいものに
向いているといわれますが
いやいや
産地、オリーブの品種、造り方などによって
一つひとつが千差万別。
それがまた病みつきになる原因でもあります。

私もまた
そのおいしさに出合って、ハマって、気づけば4種類。
ギリシャ・クレタ島の素直な味わいのもの、
イタリア・トスカーナ州の
胡椒のような辛みの利いた軽いタイプ、
イタリア・ラツィオ州の
コクがあって、フルーティな香りの1本。
そして4本目、最新のオイルは
明日ご紹介する『カイアッツォの丘』。
カンパーニャ州のEXバージン・オリーブオイルです。

今は切らしていますが
レモンと一緒に圧搾したレモンフレーバーのオイルも
爽やかな香りが気に入っていたので
買い足さなければ……。
と、まぁこんな風に
どんどん、どんどん瓶が増殖しそうな勢い。
しかし
どのオリーブオイルを使おうかと悩むのは
盛りつける皿を選ぶのと同じくらい、楽しい仕事。
それに、料理の味わいが
本当に変わるんですよ。


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2004年3月29日(月)

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