| 第48回北のチーズと最高に合う「コニャ」
 
 チーズに、何かをプラスすることで
 ますますおいしくなることがあります。
 たとえば
 干し葡萄や無花果、
 フルーツのソースやジャムなどを添えたり。
 塩気の強いゴルゴンゾーラなどの青カビチーズや
 酸味のあるリコッタチーズに蜂蜜とか、
 パルミジャーノにバルサミコ酢
 という組み合わせもすばらしい相性です。
 しかし私が今まででいちばん感動したのはイタリア・ピエモンテ州のリストランテで食べた
 コニャ(ピエモンテ方言では「クニャ」と聞こえるとか)。
 一見、ジャムのような感じです。
 私がコックから訊いたおおざっぱなレシピは
 モスト(ワイン用の葡萄を搾った発酵前の果汁)を煮詰め、
 その中に梨、メロンの皮、
 ヘーゼルナッツ、くるみなどを入れて
 さらに煮込むのだとか。
 ワイン用の葡萄は、土地の品種である
 ネッビオーロ、バルベーラ、ドルチェットです。
 ただしコニャは家庭によって使う葡萄の品種や入れる材料(リンゴやマルメロの実を
 入れるところもある)など
 レシピが少しずつ違うようです。
 ピエモンテでチーズの勉強をしていたチーズ講師の西村亜紀子さんに、彼女がお世話になった
 マンマのレシピを教えてもらいました。
 【材料】
 リンゴ 1kg、梨 1kg、イチジク 1/2kg
 くるみかヘーゼルナッツ 1/2kg(両方入れてもOK)
 モスト 2リットル
 【作り方】モストを火にかけて1/3の量になるまで煮詰める。
 フルーツとナッツを小さく刻んで加え、さらに2時間ほど煮込む。
 以上。材料さえ手に入れば簡単です。
 しかしこの、手に入りにくい材料が命なのかもしれません。
 ピエモンテのワインになる葡萄。
 これが味を大きく左右することは、誰にでも
 想像がつくというもの。
 マンマによれば
 収穫後、圧搾したばかりのモストが最適で
 そのためコニャは現地でも
 収穫期である9月末〜10月にかけて作るのだとか。
 しかも葡萄は圧搾されている間にも醗酵が進むため
 原料となるモストは
 8%以下のアルコール度数をもつといいます。
 土地の葡萄、土地のチーズ、土地のワインに勝てるはずなどありません。
 ただ、そんなことは百も承知で
 日本いてもちょっとだけあの風味を感じたいとき
 葡萄ジュースで試してみようと
 思っています。
 ちなみに西村さんが葡萄ジュースで作ったコニャはチーズよりバニラアイスに合ったそうです。
 それもまた、おいしそうでしょ?
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